日本に生息するカミキリムシはなんと800種以上。そんなカミキリムシを、ここでは写真や生態とともにご紹介しています。
ちなみに、詳しくカミキリムシが分かる実際の図鑑(本)は以下をおすすめしています。180種掲載されていて、一般書としてはおそらく一番詳しいです↓
もくじ
日本のカミキリムシの種類
※クリックすると写真が大きくなります。
名前【珍しさ(★が少ないほど珍しい)】 | 特徴・生息場所・見つけ方 |
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ルリボシカミキリ【★☆☆☆☆】サイズ:15〜30mm 分布:北海道〜九州 ![]() |
見かける場所:土場、広葉樹の朽ち木周辺、自然の残る里山周辺
分類:コウチュウ目/カブトムシ亜目(多食亜目)/ハムシ上科/カミキリムシ科/カミキリ亜科/ルリボシカミキリ族/ルリボシカミキリ属 滅多に見かけることはない。死ぬと青い色は褐色に変わるので、標本で本来の色を見ることはできない。 体の青色と触角の青色は異なる。とくに触角の青色は脆いガラスのような質感と光沢を持ち、魅了される。 ブナ、クルミ、カエデ、シラカバなどの雑木林にいる。 それらの広葉樹がの枯れ木、土場に集まる。 生息数は減少していると言われている。 昆虫ゼリーで簡単に飼える。 |
ホタルカミキリ【★★★☆☆】サイズ:8〜10mm 分布:北海道〜九州 |
分類:カミキリムシ科/ホタルカミキリ族/ホタルカミキリ属
見かける時期:4〜7月 名前のとおり、体の配色がホタルに似ている。アジサイやブドウなどの花に集まり、山沿いの民家の庭や雑木林などで見られる。 |
ゴマダラカミキリ【★★★★☆】サイズ:25〜35mm程度 分布:全国 |
いろいろな木の皮(樹皮)を食べる。その種類の幅が広いことで有名。クワ科の植物以外にも、クリ、ヤナギ、シラカバ、ミカンの樹皮などを食べる。
幼虫は果樹や街路樹の中に1〜2cmほどの道を作り、これが原因で枯れたりする。ミカン栽培では害虫として駆除される。 上記の植物や昆虫ゼリーなどで比較的容易に飼える。 |
キクスイカミキリ【★★★☆☆】サイズ:6〜9mm前後 分布:北海道〜九州 |
全体的に黒色だが前胸部に赤い斑点が一つある。キクスイカミキリはキク科全般に産卵するため害虫になる場合もある。産卵時、ホストの茎の維管束を切断するため、花部分はそのまま枯れてしまうので栽培農家を困らせる。 |
ソボリンゴカミキリ【★★★☆☆】サイズ:17〜22mm前後 分布:本州〜九州 |
宿主(ホスト)はシャクナゲやツツジ。リンゴカミキリに酷似。本種の見分け方は、①上翅付け根の黄色模様が縁までいっていない(縁が黒い)、②上翅の中央部でのくびれがある、など。 ソボの由来は九州にある祖母山と思われる。 |
ハイイロヤハズカミキリ【★★★☆☆】サイズ:12〜20mm 分布:本州〜沖縄 |
分類:フトカミキリ亜科/サビカミキリ族/ハイイロヤハズカミキリ属 マダケ、ネザサなどのイネ科がホスト。体色は灰色で細かい毛に覆われている。上翅の先端が尖り、それがまるで矢筈(やはず、矢の一番後ろの、弓の弦をひっかけるところ)に似ていることからヤハズという名前に。竹や笹に卵を産む。 |
センノキカミキリ(センノカミキリ)【★★★☆☆】サイズ:15-40mm前後 分布:北海道〜九州 |
フトカミキリの仲間。
全体的に黒褐色で、部分的に白っぽい部分、黒っぽい部分が分かれる。オスの触角が体長の2倍程度と長い。 センノキカミキリ、クロセンノキカミキリ、アマミセンノキカミキリと国内に3亜種がいる。 |
ナガゴマフカミキリ【★★★☆☆】サイズ:13〜22mm前後 分布:本州〜九州 |
樹皮や落ち葉の模様に擬態しているが、緑色の葉の上にいることも多いため見つけやすい。赤いダニがたくさんついていることがある。 |
ラミーカミキリ【★★★☆☆】サイズ:10-20mm 分布:関東以西 |
分類:コウチュウ目/ハムシ上科/カミキリムシ科/フトカミキリ亜科/ラミーカミキリ属
見かける頻度:★★★☆☆ 見られる時期:5月〜8月 ホスト:ムクゲ、イラクサ科、カラムシなど。幼虫もカラムシなどの茎の中に入る。 |
ゴマフカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:10〜14mm前後 分布:本州〜九州 |
ナガゴマフカミキリと似ているが、本種は赤褐色の斑点があることで区別できる。樹皮や落ち葉の模様に擬態している。 |
シロオビゴマフカミキリ【★★★☆☆】サイズ:6~11mm 分布:本州・四国・九州 |
分類:カミキリムシ科/フトカミキリ亜科/ゴマフカミキリ属
見かける頻度:★★★☆☆ 見かける時期:春から夏。5〜8月 クワ、ケヤキ、オニグルミ、フジ、モミ、アカマツ、カラマツの枯れ木や伐採地で見られる。 シロオビの中には小さい黒点が思うままに散りばめられ、それは左右で対をなしておらず、ランダムな配置。虫の美しさはなにも金属光沢だけではない、そう気づかせてくれる不思議な模様である。 |
アカハナカミキリ【★★★★☆】サイズ:6mm前後 分布:本州〜沖縄 ![]()
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アジサイ科の花などに集まる。土場(伐採木や枯れ木が積んでアル場所)にもいる。
アジサイの花粉を食べる。 幼虫はマツ、クヌギなどの枯れ木にいる。 |
ヨツスジハナカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:12-22mm前後 分布:日本全土 |
ウツギなどの花の上にいることが多い。アカマツやモミなどの針葉樹、コナラ、オニグルミなどの広葉樹の林の朽ち木や土場(伐採木を積んだ場所)で幼虫は育つ。 |
オオヨツスジハナカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:20-31mm前後 分布:北海道〜九州 |
背中にオレンジと黒の横筋の模様がある。黒の面積が地方によっては大きくなり、模様は地域差が大きい。胸が黒い個体、赤い個体がある。写真は胸が赤い個体。
幼虫は針葉樹を食べ、成虫は花に飛んでくる。 |
チャボハナカミキリ【★★☆☆☆】 |
体長:5〜7mm前後
見かける時期:5〜7月 生息地:本州・四国・九州 春、クリの木の花や葉の上で見かけることが多い。ホストはよく分かっていないが、里山、低山の針葉樹や広葉樹の朽ち木と予想される。 |
ミドリカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:12〜22mm 分布:本州〜九州 ![]() |
美しいカミキリムシ。身体は細かい光のつぶが輝く夕暮れのような金属光沢、触角と脚は濃い藍色をしている。
その色味には地域差や個体変異が認められ、屋久島では青緑色が、北海道では赤銅色が基調となる。 平地や亜高山帯の針葉樹林域まで広く生息している。 成虫は、クリの花やガマミズの花によってくる。また、広葉樹の土場にも集まる。 幼虫は椎茸のほだ木を食害することがある。
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トラカミキリ(トラフカミキリ)【★★☆☆☆】サイズ:18〜30mm程度 生息:北海道〜九州 |
トラフカミキリともいう。スズメバチに擬態している。 |
キイロトラカミキリ【★★★☆☆】サイズ:12〜20mm程度 分布:本州、四国、九州 |
体が細かい毛に覆われており、胸部と背中にはうすい黄色に黒い線が入り込んだ模様を持つ。
幼虫は雑木林のコナラ、クヌギなどの枯れ木の中にいる。 土場や枯れ木の上にいることが多い。5月〜6月に成虫がたくさん見つかることが多い。
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シロトラカミキリ【★★★☆☆】サイズ:10〜17mm程度 分布:北海道、本州、四国、九州 |
胸部と背中に黒と白の模様があり、白部分は黄色味を帯びていることもある。ケヤキ、ブナ、アカマツなどさまざまな樹種の枯れ木や伐採木に産卵する。成虫は5月〜8月ころに見かける。 |
クリストフコトラカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:12〜17mm程度 分布:本州、九州 |
クリストフコトラカミキリは4月から6月、とくに早春に見かけるトラカミキリ族の仲間。クヌギやミズナラ、コナラなどの広葉樹の伐採土場や薪に集まる。背中に二つ、まるでカオナシ(ジブリの登場キャラ)の目のような模様があるので、すぐに見分けられる。
コトラというわりに小さくない。 |
エグリトラカミキリ【★★★★☆】 |
エグリトラカミキリはクロトラカミキリと似ているが、お尻部分の先の両サイドが楊枝の先のようにとがっていたらエグリトラカミキリ、とがっていなかったらクロトラカミキリ。
標高1000メートルくらいの亜高山帯の草の葉の裏にいる。 |
クロトラカミキリ【★★★★☆】サイズ:10〜15mm前後 生息:全国 |
エグリトラカミキリと似るが、お尻部分、羽の先が爪楊枝の先のようにとがっていたらエグリトラカミキリ、とがっていなかったらクロトラカミキリと見分けられる。
桜やさくらんぼなどの土場(伐採された木が積み上げられた場所)に集まる傾向がある。 背中上側の模様が漢字の「火」に見える。 |
ホソトラカミキリ【★★★★☆】サイズ:6〜11mm前後 生息:全国 |
平地にも標高の高い場所にもいる。
身体が小さいので、見つけにくい。 捕まえようとすると、ゴキブリのようにすばやく歩いて逃げる。 |
ヒメスギカミキリ【★★★☆☆】サイズ:7〜12mm前後 生息:全国 ![]() |
スギ、ヒノキの害虫で、樹皮の内側に卵を産む。幼虫は樹皮付近など樹木の比較的浅い部分で食害を呈する。
脚が途中で盛り上がっていて、力持ちに見える。 ホソトラカミキリと同じく、捕まえようとすると、ゴキブリのようにすばやく歩いて逃げる。 |
ウスバカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:30〜60mm前後 生息:全国 ![]() |
大型のカミキリムシ。メスでは60mm程度の個体もいる。
ミヤマカミキリと似ているが、はねにスジがあることで見分けられる。 夜行性で灯りに飛んでくる。昼間はクヌギ木の穴や幹の表面にじっとしている。 捕まえても鳴かない。 はねは薄く、光に透き通るため、ウスバという名前が付いたと言われる。
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ノコギリカミキリ【★★★★☆】サイズ:25〜48mm前後 生息:北海道〜九州 |
国内の大型カミキリムシ。夜行性で灯りに飛んでくる。昼間は葉の間などで休んでいる。
捕まえると、キーキーと鳴く。 似ている種に、ニセノコギリカミキリがいる。ニセノコギリカミキリの方が全身のつやが少なく、メスは触角の先の二節分が癒合している。 |
クロカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:12-25mm前後 生息:北海道〜沖縄 |
アゴが大きいので、クワガタのように見える。
マツなどの針葉樹の土場にいる。 |
オオクロカミキリ【★☆☆☆☆】サイズ:15〜30mm前後 生息:全国 ![]()
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平地の雑木林や森、亜高山帯で見つかる
胸部の頭頂にくぼみ(陥没部)がある。 サビカミキリに似るが、大きさや胸部の陥没の有無、色味やはねのスジの鮮明さで区別できる。 |
サビカミキリ【★★★☆☆】サイズ:10〜28mm前後 生息:本州以南 |
平地の雑木林や森、1500メートル以上の亜高山帯にも生息する。
オオクロカミキリに似るが、色味やはねのスジの鮮明さで区別できる。 灯りに集まる。 ムナクボカミキリとも。 |
アトモンサビカミキリ【★★★☆☆】 |
サイズ:7〜10mm 生息:北海道〜九州 ブナやクリ、フジ、クワ、モミ、カラマツ、スギなど、広葉樹・針葉樹問わず幅広い樹種をホストとする。 |
アカアシオオアオカミキリ【★★★☆☆】サイズ:25〜30mm前後 生息:本州〜九州 |
美しい青の金属光沢を持つ。写真では紫色をしているが、死んだために色が変わったと思われる。
8月頃、クヌギの樹液や明かりに集まってくる。 幼虫はクヌギの木で育つ。 |
ミヤマカミキリ【★★★★☆】サイズ:14〜30mm前後 生息:本州〜沖縄 |
国内の大型カミキリムシ。雑木林でクワガタなどを採取している時に見つけることもある大型のカミキリ。
クヌギやコナラなどの樹液を吸う。 ミヤマカミキリモドキと似る。違いは、ミヤマカミキリモドキには青い光沢があり、地面を歩く点。 |
アオスジカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:15〜35mm前後 生息:本州南部〜九州、世界にも広く分布 |
国内の大型カミキリムシ。翅鞘の肩部からお尻にかけて青緑色のすじ(青筋)が見られる。 |
クワカミキリ【★★★★☆】サイズ:22〜44mm前後 生息:本州〜九州 ![]()
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クワやイチジクにいるカミキリ。飼育は簡単で、クワの枝を入れるだけでよい。
クワの枝にいることが多い。光にも集まる習性がある。 |
キボシカミキリ【★★★★☆】サイズ:14〜30mm前後 生息:本州〜沖縄 |
クワやイチジクの害虫。
飼いやすい。クワやイチジクの葉を入れればよく食べる。とくにクワをよく食べる。 |
クリサビカミキリ【★★★★☆】サイズ:6-9mm 生息:本州〜九州 |
アトジロサビカミキリと似ている。
白い模様が終わってお尻先端側が黒っぽく、白の模様が目立つ。また、はねのお尻側先端の輪郭が丸い。アトジロサビはここが尖っている。 クリ、ミズナラなどに生息する。 |
アトジロサビカミキリ【★★★★☆】サイズ:7-10mm 生息:北海道〜九州 |
クリサビカミキリと似ている。
白い模様が終わってお尻の先側が白っぽく、白の斑点がグラデーションのようになる。また、はねのお尻側先端の輪郭が尖っている。 雑木林やフジ、ツル植物で見つけることができる。 |
クスベニカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:15〜19mm 生息:北海道〜九州 |
長野県・山梨県などの中部地方などでは普通に見られるが、東京や九州の一部の都道府県ではレッドデータブック(絶滅危惧種)に登録されている。
カミキリムシの中で飛び方に特徴があり、上翅を上に上げずに、脇から内側の羽を出して飛ぶため、器用に飛ぶ。 |
ヘリグロベニカミキリ【★★★☆☆】サイズ:14〜19mm 生息:北海道〜九州 |
カエデ、イタヤカエデ、アジサイなどの花や葉にいる。里山、雑木林の多い地域にある家なら庭で見つけることも多い。 ベニカミキリと外見が似ているが、お尻の辺りに二つの黒い点があるのがヘリグロベニカミキリの見分けポイント。 |
ベニカミキリ【★★☆☆☆】サイズ:12~17mm 生息:北海道、本州、四国、九州 |
分類:カミキリムシ科/ベニカミキリ族/ベニカミキリ属
紅はくれない、このカミキリはたしかに見事な紅。 前胸背板(ぜんきょうはいばん)には5つの黒紋があり、その大きさは個体や地域で大きかったり小さかったりと多様性がある。その模様を眺めていると、エドヴァルド・ムンクが描きそうな絵に見えてこなくもない。上翅に一対の黒斑が現れる個体もいる。 |
チャイロホソヒラタカミキリ【★★★☆☆】サイズ:8~15mm 生息:北海道、本州、四国、九州 |
分類:カミキリムシ科/スギカミキリ族/チビヒラタカミキリ属
すばしこく動くカミキリムシ。平地や山地に生息し、コナラやミズナラなどの広葉樹を宿主とする。もともとクビアカルリヒラタカミキリの名前だったが、同種で黄褐色タイプがいることが分かり、チャイロホソヒラタカミキリに名前が変わった。 |
カミキリムシの飼い方
カミキリムシは比較的飼いやすい虫ですが、そのカミキリムシが何を食べるかを知っている必要があります。
たとえば、樹液を吸うカミキリムシ(ミヤマカミキリやシロスジカミキリ、ルリボシカミキリ)は昆虫ゼリーで飼えます。枯れ枝の樹皮を食べるカミキリムシ(クワカミキリやゴマダラカミキリ)、葉っぱを食べる雑食のカミキリムシ(キボシカミキリ)、花の花粉や花ビラを食べるカミキリムシ(ハナカミキリの仲間、トラカミキリの仲間)などいますので、その習性に合わせて餌を与えます。どれも日持ちしやすいので飼いやすいです。
逆に、ナガゴマフカミキリなどの土場の木の樹皮を食べるカミキリムシは、枯れた枝ではなく太い枯れ木を虫かごの中に入れるので、飼うのが難しいです。また、葉脈を食べるカミキリ(リンゴカミキリなど)はエサをどれくらい食べたかわかりにくいし、葉脈がある部分は少ないので、葉にすぐに変えないといけず、飼いにくいです。
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