スネケブカヒロコバネカミキリ

スネケブカヒロコバネカミキリ

発見日記(2025年7月 山梨県)

スネケブカヒロコバネカミキリを一度見てみたくて、産地とされる山梨のあるエリアに訪れた。

日当たりのよい開花中のカラスザンショウを見つけたので、早速大きめの網ですくってみる。本種はハチに似ているので、ハチが多く入っても構わない。むしろハチが多く入るように大胆にすくってみる。

網の中を確認すると、キイロアラゲカミキリ、フタオビミドリトラカミキリ、その他多数のハチ、アブ。しかしよく観察してみると、多くのハチに混じって1匹だけ形の違うものが混じっている。「もしかして!」捕まえてみるとやはり本種であった。

本種はハチに擬態するカミキリムシとして知られ、擬態はその姿にとどまらず、後ろ脚の脛節と跗節の間に鋭いトゲも備える(下写真黄矢印)。これはハチの「針」を擬態している可能性がある。

捕まえると、そのトゲで刺してくるので、チクッとする。毒針ではないので、痛いわけでも危ないわけでもないが、そんな好戦的な姿勢もまたハチの擬態ということか。

スネケブカヒロコバネカミキリのような虫を知ると、「擬態」とはつくづく不思議な生物進化だと思わずにはいられない。

開花中のカラスザンショウ
カラスザンショウの幹や枝にも小さなトゲがある

特長

学名Merionoeda (Macromolorchus) hirsuta
分類カミキリムシ科/カミキリ亜科
大きさ体長10~14mm
分布本州、四国、九州
成虫が見られる時期7〜8月
特徴、生態部分枯れや立枯れにも飛来し、そこに産卵する。幼虫はネムノキの立ち枯れの中で育つ。

前胸の色で雌雄判別可能。オスは黒色で、メスは赤色。メスはオスより一回り大きい

成虫はカラスザンショウ、リョウブ、ノリウツギ、アカメガシワなどの花に集まる。

ホストのネムノキが減少すれば、本種の生息数も顕著に減少すると思われる。
スネケブカヒロコバネカミキリのオス

絶滅危惧種に指定

スネケブカヒロコバネカミキリは各地で絶滅危惧種として指定されている。

カテゴリー
茨城準絶滅危惧
栃木情報不足
福井要注目
兵庫Cランク
奈良注目種
島根準絶滅危惧 (NT)
高知絶滅危惧Ⅰ類 (CR+EN)
福岡絶滅危惧Ⅱ類 (VU)
熊本準絶滅危惧 (NT)
大分準絶滅危惧 (NT)
宮崎絶滅危惧Ⅱ類 (VU-r,g)

*PhotoACより

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