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アカジマトラカミキリはケヤキの枯れ木や老木に集まる、鮮やかな赤色をした日本在来種のカミキリムシ。

アカジマトラカミキリの発見記録
一昨年、去年と採取に出かけるも見つけられなかったアカジマトラカミキリに今年も8月下旬に再挑戦。場所は山梨県北杜市須玉にある古い神社周辺に多く自生するケヤキ。
夕方動き始めると言われる本種。午後3時半頃。そこに1本衰弱したケヤキを見つけ、しばらくその場で見張った。しかし現れなかった。その後、周囲を30分ほど散策し、何本か衰弱したケヤキを見つけてはルッキングで赤い虫がいないか探すも、そう簡単に本種は姿を見せてくれない。
結局、最初のケヤキの木のところに戻り、しばらく木の幹を眺めていると、なんとアカジマトラカミキリが2mほどの距離に!出会いは突然やってきた。
さっき確認したときはいなかったはずだから(もしかしたら見落としていたかもしれない)、幹の裏側にいたのがこちら側に回ってきたか、あるいは飛来してきたのだろう。
気持ちを落ち着けて、網をケヤキの幹にそっと近づける。網の円とケヤキの幹の円の接点で網に入れなければならない。少し触れただけですぐに落下するカミキリも多いが、本種はそうではない。網の縁で何度かつついてみても落ちる気配はなく、幹を水平方向、鉛直方向に縦横無尽に歩き回る。飛翔しないのが幸い。
思い切って網の縁で強めにその個体を刺激すると、やっと落ちて、網のフレームに当たったあと、フレームの外へ落ちてしまった。落ちた先はつる植物が入り交じる深いヤブなので見失ってしまった・・・残念。

ヤブを散々探すも見つからず、もうだめかと諦めかけたとき、別個体が目の前のアブラチャンの木の葉の上でじっとしているのに気がつく。手が届く葉っぱの上だったので、なんなく捕まえることができた。
その後もしばらくそのケヤキを眺めていた。時刻は午後4時半。そろそろ帰ろうと思った時、目の前のケヤキの木の幹にもう1個体いるのを見つけ、生態写真を撮ることもできた。
本種が夕方から活動的になるというのは本当だった。ケヤキの森の赤い宝石についに3個体も出会うことができて、帰りの足取りは軽かった。
アカジマトラカミキリの生態情報
学名 | Anaglyptus (Akajimatora) bellus | ||
分類 | カミキリムシ科/カミキリ亜科 | ||
大きさ | 体長16mm前後 | ||
分布 | 本州、四国、九州 | ||
特徴、生態 | 低地から山地に生息する。成虫は8〜10月と、カミキリムシとしては遅い時期に出はじめる。 また、活動する時間帯も夕方から夜にかけてと、他のトラカミキリやハナカミキリよりも遅い。 出現時期も遅ければ、活動時間も遅い・・・マイペースなカミキリ⁉ 上翅は美しい赤色で、個体によっては淡いピンク色を帯びるものもいれば、オレンジ味が強くなるものもいる。 宿主はケヤキで、老木や枯れ木に産卵のため集まる。しかし、どのケヤキにいるというわけではなく、森の中で代々ケヤキの群生地として醸成されてきたエリアにいるようである。 本種は山梨県北杜市須玉の古い神社の近くで見つけた。 |

アカジマトラカミキリは各地で絶滅危惧種に指定されている
各自治体で絶滅危惧種に指定されている。絶滅危惧種Ⅱ類以上に指定されている府県は以下。
分類 | |
富山 | 絶滅危惧Ⅱ類 |
大阪 | 絶滅危惧Ⅰ類 |
山口 | 絶滅危惧Ⅱ類 |
香川 | 絶滅危惧Ⅱ類 |
高知 | 絶滅危惧Ⅰ類 |
アカジマトラカミキリの写真




















