ゲンゴロウなど水生昆虫図鑑

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ゲンゴロウなど水生昆虫図鑑
2022/05/12

ゲンゴロウ・ガムシ・水生昆虫図鑑

※ガムシは雑食性・植物食の水生昆虫であり、ゲンゴロウとは異なる分類だが、姿がゲンゴロウと似ているゆえ誤同定されやすいので、便宜的にここでいっしょに紹介。

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名前【珍しさ(★が少ないほど珍しい)】 特徴/生息場所/見つけ方

ゲンゴロウ
【★☆☆☆☆】

環境省カテゴリー:絶滅危惧種Ⅱ(VU)
コウチュウ目/ゲンゴロウ科/ゲンゴロウ属(4〜10月、北海道〜九州、体長34 – 42mm)

ナミゲンゴロウ、オオゲンゴロウとも言われる。国内の水生甲虫類で最大(水生昆虫全体の最大はタガメ)。昔は食用になるほどたくさんいたが、現在は絶滅危惧II類 (VU)に指定。絶滅が危惧される。 

都会部の水田ではまず見つからない。日本の平野部ではほぼ絶滅したと考えられている。ゲンゴロウが生存していると言われる山間部、地方の水田、沼地でも滅多に見つけられない。

昆虫マニアの憧れの存在。

クロゲンゴロウ
【★☆☆☆☆】

環境省カテゴリー:準絶滅危惧(NT)
コウチュウ目/ゲンゴロウ科(4〜10月、本州〜九州、体長20〜25mm)

暗褐色、暗緑色を帯びた光沢のある黒色のゲンゴロウ。ナミゲンゴロウより一回り小型で、同様に個体数が非常に少ない。自然が手つかずの地域の、水田や池や沼に生息している。

ヒメフチトリゲンゴロウ
【★★★★☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(1年を通して見られる、奄美諸島など南西諸島、体長27~32mm)

南西諸島に生息する大型のゲンゴロウで、きれいな水質の沼、池、湿地を好む。

クロズマメゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

ゲンゴロウ科/ヒメゲンゴロウ亜科/マメゲンゴロウ属(北海道〜九州、体長9.5~11.5mm)

冬水田んぼ(冬期湛水)、落ち葉の積もった池など水深が浅く水が涸れない水域に生息。

神奈川県、埼玉県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ種に指定。近い将来、絶滅する可能性が高い種。

ホソセスジゲンゴロウ
【★★★★☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科/セスジゲンゴロウ亜科/セスジゲンゴロウ属(北海道〜九州、体長4.5〜5.5mm)

林沿いの休耕田や林の中の水たまり、雨上がりの道路の水たまりなどにいる。体は全体的に黒色だが、上翅基部だけ褐色に色づいた個体もいる。

ヒメゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜九州、体長11〜13mm)

オオヒメゲンゴロウ(体長13〜14mm)に似るが、『大きさ』と『前胸背板の黒紋の形』で見分ける。ヒメゲンゴロウはオオヒメゲンゴロウよりも前胸背板の黒紋が小さく菱形。ただし、この黒斑は地域、個体によってはヒメゲンゴロウでも大きくなる場合があり、区別の根拠にならないことも。

ハイイロゲンゴロウ
【★★★☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜九州、体長12〜14mm)

灰色の地色に黒の複雑な模様が広がる。このような繊細な模様を持つゲンゴロウはあまりいない。山地沿いの池や水田、平地、公園の親水施設などで見られる。 ハイイロゲンゴロウは水面からすぐに飛び立つことができる希有な種である。普通のゲンゴロウ種はそのようなことはできず、翅を乾かす時間が必要である。

オオヒメゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

写真なし
コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜本州、体長27~32mm)

よく似るヒメゲンゴロウ(体長11~12.5mm)とは大きさと前胸背板の黒紋の形で見分ける。オオヒメゲンゴロウはヒメゲンゴロウよりも前胸背板の黒紋が横に広く伸びる。千葉県で絶滅危惧Ⅱ種

シマゲンゴロウ
【★★★☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(3〜9月、北海道〜九州、体長12〜14mm)

池や水田にいる。オタマジャクシや小魚を食べる。ゲンゴロウ同様、個体数は減少傾向にあり、地域によってはレッドデータリストに登録されていることも多い。

コシマゲンゴロウ
【★★★☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(4〜10月、北海道〜九州、体長9〜11mm)

池や水田に生息し小魚などを食べる。縦の筋が背中に強く、その辺縁は黒点の連なりで黒い筋のように見える。

チャイロシマチビゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜九州、体長5mm)

河川の流れの淀みにいる。神奈川県のレッドデータブックで【絶滅】に指定された。

コツブゲンゴロウ
【★★★★☆】

コウチュウ目/コツブゲンゴロウ科(3〜11月、北海道〜沖縄、体長3.5〜4.5mm)

小さな茶色(褐色、かっしょく)のゲンゴロウ。おしりに空気(くうき)をつけて呼吸(こきゅう)する。

背面(せなか)にふくらみがある。水田(すいでん)や池(いけ)などにいる。

モンキマメゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜九州、体長8mm)

小さな黒色のゲンゴロウ。おしりに空気(くうき)をつけて呼吸(こきゅう)する。

背面(せなか)に黄色い斑紋(はんもん)がある。清流や渓流、中流域の河川、池に生息する。

サワダマメゲンゴロウ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(北海道〜九州、体長8〜9mm)

小さな黒色のゲンゴロウ。おしりに空気(くうき)をつけて呼吸(こきゅう)する。

目の少し後ろ、頭部と胸部の間の頭部側に2つの赤い班がうっすらとある。日本に生息するゲンゴロウの中で最も上流に分布する。

チビゲンゴロウ
【★★★★☆】

コウチュウ目/ゲンゴロウ科(体長2mm程度)

とても小さな茶色(褐色、かっしょく)のゲンゴロウ。しろい縦筋(たてすじ)もようがある。おしりに空気(くうき)をつけて呼吸(こきゅう)する。

雨の後の水たまりや水田(すいでん)や池(いけ)などにいる。

あまりに小さいため、ほとんど気づかれないが、全国雨の後の水たまりでも見ることができる。

ミズスマシ
【★☆☆☆☆】

コウチュウ目/ミズスマシ科(体長6mm程度)

目が4つあり、水面を境に上下に2つずつあり、水の中と外を同時に見ている。北海道から九州に分布するが、各地で絶滅が危惧されている。

ガムシ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(4〜10月、本州〜沖縄、体長33〜30mm)

黒い水生昆虫。

体が大きいためゲンゴロウと混同されやすいが、実際には色がゲンゴロウは緑で、ガムシはクロなので区別はかんたん。

ゲンゴロウよりもよく見かける。

お腹に牙(きば)のようなものがあり、牙虫(がむし)と名前がついた。しかし、その牙の役目は不明。

地域によっては多く見られるが、全国的には珍しい。

コガムシ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(4〜11月、本州〜沖縄、体長14〜17mm)

コガムシはガムシの小さい種類(しゅるい)。日当(ひあ)たりのいい場所(ばしょ)ではみどりがかってみえる。あしはあかくてちゃいろ。

地域によっては多く見られるが、全国的には珍しい。

マメガムシ
【★★☆☆☆】

マメガムシ マメガムシ マメガムシ マメガムシ

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(4〜10月、本州〜沖縄、体長6mm前後)

背中(せなか)がおおきくふくらんでいる。

地域によっては多く見られるが、全国的には珍しい。

水田(すいでん)で見(み)つけられる。ほかにも池(いけ)や湿地(しっち)などでもよくみつけられる。

キベリヒラタガムシ
【★★★★☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(4〜10月、本州・四国・九州、体長5〜6mm前後)

小ぶりのガムシの一つ。キベリ(黄縁)とは黄色い縁(ふち)という意味で最近はあまり使う言葉ではないが、昔はキベリ(黄縁)、ベニヘリ(紅縁)、クロヘリ(黒縁)などの言い方が一般的で、虫の名前にも付けられることがあった。

キベリヒラタガムシもたしかに体のふちが黄色いが、マクロ写真や顕微鏡でなければ分からないかも。公園のみずたまりや池、湿地(しっち)などでよく泳いでいる。

キタコマルガムシ?
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(北海道・本州・四国、体長5mm前後)

山地や湧水の小さな流れ、小川に分布する流水性のガムシ。

2019年『コマルガムシとキタコマルガムシは別種か?』という研究発表がなされるなど、種同定に検討の余地が残る。同属(コマルガムシ属)は本州に生息する未記載種もまだいるとも言われている。

トゲバゴマフガムシ
【★★★☆☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(4〜10月、本州など、体長4〜5mm前後)

似た種に、ニッポントゲバゴマフガムシ、シナトゲバゴマフガムシ、ナガトゲバゴマフガムシなどがいるが、雄の交尾器で見分けることができる。

水田や水たまり、池、湿地で見られ、よく飛ぶ。

ゴマフガムシ
【★★★★☆】

コウチュウ目/カブトムシ亜目/ガムシ科(本州〜九州、体長4〜7mm)

ゴマフ模様はそれほど目立たない。池や水田で水草の多い水域にいる。

コガシラミズムシ
【★★★☆☆】

コウチュウ目/コガシラミズムシ科/コガシラミズムシ属(4〜10月、北海道〜九州など、体長3.5mm前後)

体が丸っこく、ふくらんでいる。ゲンゴロウと同じく農薬や除草剤などの水質悪化や里の減少で数を大幅に減らしているよう。
水田、池、湿地などにいて、成虫はアオミドロなどの植物、藻類

マダラコガシラミズムシ
【★★☆☆☆】

コウチュウ目/コガシラミズムシ科/コガシラミズムシ属(4〜10月、北海道〜九州など、体長3.5mm前後)

背中の中央部が黒いのが特徴。体が丸っこく、ふくらんでいる。環境省レッドカテゴリの準絶滅危惧(NT)(絶滅危惧Ⅱ類(VU))に指定されており、ゲンゴロウと同じく農薬や除草剤などの水質悪化や里の減少で数を大幅に減らしているよう。地域によっては多く見られるが、全国的には珍しい。
水田、池、湿地などにいる。

タガメ
【★★☆☆☆】

タガメの写真

タガメの写真(commons.wikimedia.org/wiki/File:Lethocerus_deyrollei.jpg)

 
カメムシ目/コオイムシ科/タガメ属(4〜10月、北海道〜沖縄)

【特徴】日本最大級の水生昆虫。虫好きな子供や大人の憧れの虫。

【生態】水田、池などに生息する。昔はゲンゴロウと並んでどの水田にもいる昆虫だったが、今は数が非常に少なくなり、絶滅危惧II類に指定されている。数が減った理由は、農薬や田んぼの整備。特にタガメは農薬に非常に弱く、農薬に曝された小魚を食べたタガメの幼虫が1回の摂食で死亡することも分かっている。

【進化】こちらは水生のカメムシと言われる。カメムシが水に入って進化したもの。他にもタイコウチやミズカマキリなども同じカメムシ目。陸のカメムシがとことん不人気なのに対し、水生昆虫のカメムシが大人気なのは皮肉(笑)。

タイコウチ
【★★★★☆】

タイオウチの写真

カメムシ目(半翅目)/タイコウチ科/タイコウチ属(4〜10月、本州〜沖縄)

北海道をのぞく全国の水田や沼、池、浅い水路に生息する。前足でオタマジャクシなどを捕まえて、体液を溶かして吸う。

タイコウチは泳ぐとき、前足を交互に動かす。その様子が太鼓を打っているのに似ているのが名前の由来。

ミズカマキリ
【★★★☆☆】

ヒメミズカマキリ

ヒメミズカマキリ

ヒメミズカマキリとタイコウチ

カメムシ目/タイコウチ科/ミズカマキリ属(4〜10月、北海道〜沖縄、体長40〜50mm)

小魚、昆虫、オタマジャクシを前肢で捕まえて、口の針(口吻)を刺して、消化液を注入し、獲物の組織を溶かしてその溶けた液を吸う(体外消化)。

水田や沼に生息し、比較的深い所にいることが多い。

カマキリに似ているが全く関係ない別種。

関係ない種が形が似る進化を収斂進化という。

ヒメミズカマキリ
【★★☆☆☆】

カメムシ目/タイコウチ科/ミズカマキリ属(5〜10月、北海道〜沖縄、体長25〜30mm)

ミズカマキリと混同されやすいが、呼吸管の体長に対する比がミズカマキリと比べて明らかに短い。ミズカマキリに比べて個体数が少ない。

ヒシ類などの浮葉植物の組織中に産卵する。

カマキリに似ているが全く関係ない別種。

関係ない種が形が似る進化を収斂進化という。

農薬や沼地の減少、整備などで、全国各地で都道府県レッドデータブ ックに指定されている。

コオイムシ
【★★★★☆】

コオイムシ(オスが卵を背負う)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ranatra_chinensis.jpg
カメムシ目/コオイムシ科/コオイムシ属(4〜10月、北海道〜九州)

日本の水田、沼に生息する。水田などの整備、農薬で数が激減したが、最近回復傾向にある。小魚や貝、昆虫を前足の鎌(かま)の部分を使ってつかまえて、口の針をさして消化液を注入して溶けた体組織を吸う(体外消化)。 

オスが卵を背負って孵化させる。

「ケロ」「子負虫」「あべこべ虫」とも言われる。

調査でも近縁種のオオコオイムシと混同されている場合が多い。区別のしかたは、オスの交尾器を挟むように並ぶ側葉片という部分の先端が、コオイムシはかぎ状、オオコオイムシの側葉片先端はなみうっている。

オオコオイムシ
【★★★☆☆】

出典:「コオイムシ科」http://www.gmnh.pref.gunma.jp
カメムシ目/コオイムシ科/コオイムシ属(4〜10月、北海道〜九州、体長23~26mm)

コオイムシと似ているが、オオコオイムシの方が大きく体の色が暗い。山間部の池や沼、湿地や休耕田、とくに湧水の混ざる場所にいることが多い。小魚や貝、昆虫を前足の鎌(かま)の部分を使ってつかまえて、口の針をさして消化液を注入して溶けた体組織を吸う(体外消化)。

オスが卵を背負って孵化させる。

調査でも近縁種のオオコオイムシと混同されている場合が多い。区別のしかたは、オスの交尾器を挟むように並ぶ側葉片という部分の先端が、コオイムシはかぎ状、オオコオイムシの側葉片先端はなみうっている。

*PhotoACより

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