絶滅しそうな日本の虫図鑑

絶滅しそうな日本の虫図鑑
2019年7月12日

絶滅危惧種に指定されている日本の虫、蝶、水生昆虫、甲虫などを写真で紹介しています。 

有名な虫から見たこともないきれいな虫まで、実の多くの虫が、たった数年から数十年後で絶滅する可能性が高い状況にあります。私たちはこの状況を黙って眺めることにもう慣れてしまいました。

はじめに〜レッドリスト分類(カテゴリー)について

まず、レッドリストに記載された絶滅危惧種のカテゴリーレベルについてご説明します。

虫に限らず、国内の生物種の絶滅危惧度は以下のカテゴリーで分けられています。これらを分類しているのがレッドリストで、国(環境省)のレッドリスト、地方自治体のレッドリスト、学術団体のレッドリスト、NGOのレッドリストなどがあります。

絶滅レッドリスト
レッドリストのカテゴリ

各カテゴリーの説明は以下です。一般に絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)〜絶滅危惧Ⅱ類(VU)を絶滅危惧種と呼びます(環境省レッドリストや地方自治体レッドリストなど)。

絶滅危惧種カテゴリー(ランク)の概要
各テゴリー(ランク)の説明

ちなみに、レッドリストとは別にレッドデータブックという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、レッドデータブック(環境省)はレッドリスト詳細版の位置づけです。レッドリストが絶滅危惧種をすばやく世に知らせるための最低限の情報(名前、カテゴリーなど)リストであるのに対し、レッドデータブックはその種の生態や生息分布状況、絶滅の要因、保全方法などの情報を詳しくまとめたブックです。

ここでは、昆虫ごとに絶滅危惧種のカテゴリーがどれなのかも併せてご紹介します(都道府県のレッドリストや環境省のレッドリストも区別して掲載します)。

オオルリシジミ

レッドリストのカテゴリー:CR、EN(環境省レッドリスト)

長野県、九州のごく一部に野生分布。成虫は青のグラデーションや鮮やかなオレンジの斑点が美しい。幼虫はクララというマメ科の植物で育つが、そのクララの生息環境が減少したのがオオルリシジミの減少原因。

オオルリシジミ

出典:環境省(https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/zukan?_action=rn051)

アカマダラハナムグリ

レッドリストのカテゴリー:DD(環境省レッドリスト)、絶滅危惧Ⅰ類、Ⅱ類、準絶滅危惧(各自治体)

本州〜九州に分布。

【概要】体長14〜20mm。昔からアカマダラコガネと呼ばれていたが、ハナムグリの仲間であるため、正式名がアカマダラハナムグリに改められた。
【生態】成虫はクヌギ、ナラ、カシワなどの樹液を吸う。
【繁殖場所】長年不明であったが、近年、オオタカやハチクマの巣で幼虫が多数発見されたため、猛禽類の巣で繁殖することが分かる。現在までに、サシバ、ミサゴ、クマタカ、カワウの巣でも繁殖することが分かっている。
【希少性】50年前までは各地で普通に見られたが、現在は数が少なく、東京都では絶滅したとされる。その他の都道府県でも、絶滅危惧Ⅰ類、Ⅱ類、準絶滅危惧に指定されている場合が多い。激減したのは、繁殖場所が猛禽類の巣であるゆえ、開発や里山環境の変化でタカやワシが激減したためと言われている。その希少性からヤフオクなどで高値で売られている。

アカマダラハナムグリ(別名アカマダラコガネ)

ルリモンハナバチ

レッドリストのカテゴリー:複数の都道府県で絶滅危惧I類、II類、準絶滅危惧種に指定

京都では1970年代に発見されたきり2013年まで発見されず、絶滅危惧II類に指定。他の複数の都道府県でも、絶滅危惧I類、II類、準絶滅危惧種に指定。

ルリモンハナバチ
ルリモンハナバチ

 

トモンハナバチ

レッドリストのカテゴリー:複数の都道府県で絶滅危惧I類、II類など

宮城県は絶滅危惧Ⅰ種、茨城県・栃木県・群馬県は絶滅危惧Ⅱ種、京都府は要注目種に指定。おそらく東京や神奈川、大阪など都市部を持つ都道府県では絶滅に近い状態。

トモンハナバチ(山梨県北杜市)
トモンハナバチ(山梨県北杜市)

 

クスベニカミキリ

レッドリストのカテゴリー:東京、大阪、九州の一部で、絶滅危惧I類、II類などに指定

長野県・山梨県などの中部地方などでは普通に見られるが、東京や九州の一部の都道府県ではレッドデータブック(絶滅危惧種)に登録されている。

クスベニカミキリ

ナミゲンゴロウ(ゲンゴロウ)

レッドリストカテゴリー:絶滅危惧Ⅱ(VU)(環境省)

昔は食用になるほどたくさんいたが、現在は絶滅危惧II類 (VU)に指定。絶滅が危惧される。
都会部の水田ではまず見つからない。日本の平野部ではほぼ絶滅したと考えられている。ゲンゴロウが生存していると言われる山間部、地方の水田、沼地でも滅多に見つけられない。
昆虫マニアの憧れの存在。

ゲンゴロウ

スジゲンゴロウ

レッドリストのカテゴリー:絶滅(EX)

スジゲンゴロウはすでに絶滅した。分類はEX。もう二度と姿を見れないゲンゴロウである。1950年代より前は普通に日本に分布していた。Wikipediaの「平野部、丘陵地の池沼、湿地、水田、休耕田に生息していた。」という過去形の説明を読むと悲しくなる。

絶滅したスジゲンゴロウ

(出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/93/Hydaticus_satoi.jpg)

コセスジゲンゴロウ、マダラシマゲンゴロウなどの本州生息の複数のゲンゴロウ

レッドリストのカテゴリー:絶滅危惧ⅠA類(CR)

コセスジゲンゴロウ、マダラシマゲンゴロウなどの本州生息の複数のゲンゴロウや、フチトリゲンゴロウ、マダラゲンゴロウなどの日本の諸島固有のゲンゴロウが近い将来、スジゲンゴロウのように絶滅する可能性が高い。

マダラコガシラミズムシ

レッドリストのカテゴリー:準絶滅危惧(NT)(環境省)、東京や千葉など複数の都道府県で絶滅危惧Ⅰ種、Ⅱ種(VU)

池に住むミズムシの一種。ゲンゴロウと同じく農薬や除草剤などの水質悪化や里の減少で数を大幅に減らしている。背中にまだらを背負った絶滅危惧種は多い気がする。背負うまだら模様は特殊な生態の表れであり、その「特殊な生態」は人の活動により変わりやすかったか。

マダラコガシラミズムシ
マダラコガシラミズムシ

オオクワガタ

レッドリストのカテゴリー:絶滅危惧II類VU

オオクワガタは日本で最大級のクワガタムシ。森林伐採や開発などで野生個体数が激減し、2007年、絶滅危惧II類に指定された。

オオクワガタ

オニクワガタ

レッドリストのカテゴリー:京都、鹿児島、三重など複数の府県で絶滅危惧種(オニクワガタ南九州亜種など)

樹液ではなく、おもに朽ち木に集まる。

オニクワガタ