明治時代に日本に持ち込まれ、当初こそ園芸用、観賞用として親しまれたが、やがて野生化し日本中に広がり、いまでは誰もが見かける身近な多年草の雑草となった。大繁殖の理由には、アレロパシー作用という抗生物質のような飛び道具を使えるから。
もくじ
セイタカアワダチソウの写真
セイタカアワダチソウの名前の由来
漢字では背高泡立草と書く。背が高く、花の綿毛がお酒を醸造するときの泡立ちに似ていたため、この名が付いた。
分類
キク科アキノキリンソウ属
セイダカアワダチソウではない
セイダカアワダチソウと間違えやすい。
セイタカアワダチソウは帰化植物、外来種
セイタカアワダチソウは北アメリカ原産の帰化植物、外来種。
その繁殖力の強さから、『要注意外来生物リスト』(環境省)や、『日本の侵略的外来種ワースト100』(日本生態学会)に指定される。
セイタカアワダチソウの特徴〜その強い繁殖力
セイタカアワダチソウは地下茎と種子の両方で増えるため、繁殖力が強い。竹は種子も数十年に一度花を咲かせて種をつけるが、基本的には地下茎で増える。スギナも地下茎が増加の主因である。
セイタカアワダチソウが持つアレロパシー作用
根と地下茎からはアレロパシー物質(他の植物の種子発芽や成長を妨げる物質)を出して他の植物が生育することを妨げる。そのすきに、自身は地下茎からどんどんと芽を出して増えていく。この特徴が強い繁殖力の理由ともされる。
アレロパシー物質は、周りの生物の生育を阻害する化学物質という点で、菌が出す抗生物質に似ている。
アレロパシーはヨモギ、サクラ、ソバなど他にも多くの植物が持っている機能であるが、まだ研究は進んでいない。セイタカアワダチソウについては『cis一デヒドロマトリカリアエステル』というアレロパシー物質が特定されている。これが、地下で土に染みだし、ススキなど周囲の植物に発芽阻害などを与える。
そのため、ひとたびセイタカアワダチソウが繁殖を始めた土地では在来植物が姿を消し、セイタカアワダチソウだけが繁茂する状況となることが多い。
セイタカアワダチソウの生態
在来植物であるススキやヨシ、オギ、アズマネザサなどと競合、共存する。畑地や田んぼわき、道路脇、土手、空き地、河川敷など土のあるところに逞しく大群落を作る。
アレロパシー、植物版の抗生物質のようなものを出して、ライバルの植物を退ける。
セイタカアワダチソウの利用
茎を乾燥し、すだれに利用する地域がある。また、花や茎、葉を乾燥し、お茶や入浴剤として使われてこともある。
セイタカアワダチソウは花粉症の原因か?
一時期、花粉症の原因と噂されたこともあったが、セイタカアワダチソウの花は虫媒花であり、風媒花ではないため、風により花粉が大量に飛散するタイプの植物ではない。そのため、現在ではセイタカアワダチソウは花粉症を起こさないと考えられている