ハネカクシ図鑑

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ハネカクシ図鑑
2018/08/19

国内にさえ、まだ多くの未発見種、未記載種がいると言われ、生態もよく分かっていない謎の虫、ハネカクシ。国内には1,500種以上のハネカクシが生息すると言われ(そのうち同定されているのは1,000種に満たない)、コウチュウ(甲虫目)の中でも最も種の多いグループの一つである。

アリの巣でなぜか襲われずに一緒に暮らすハネカクシ、毒を持ちやけど虫の名で知られるハネカクシなど。また、ハネカクシは中生代三畳紀の化石からも発見されており、太古から生息する虫でもある。

最大の特徴はなんといっても背中の小さな上翅(ハネをしまうところ)。翅はコンパクトに小さな上翅の中に折りたたまれ、まるで隠されている。

そんなハネカクシをここで一挙紹介。

日本のハネカクシの種類・図鑑【見かける頻度】 

※クリックすると写真が大きくなります。

 

名前【見かける頻度】 特徴・生息場所・見つけ方

ヒメキノコハネカクシ
【★★☆☆☆】

ヒメキノコハネカクシ
ヒメキノコハネカクシ

 出典:http://biodb.i.hosei.ac.jp/nagaike/index.html

公園、樹木などにいる。似ているハネカクシに、ヒメハダニカブリケシハネカクシがいる。

シリホソハネカクシ【★★☆☆☆】

シリホソハネカクシの一種   

 

シリホソハネカクシの一種

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tachyporus_obtusus01.jpg

 

ズグロシリホソハネカクシ【★★☆☆☆】

ズグロシリホソハネカクシ(山梨県北杜市)   

 

ズグロシリホソハネカクシ(山梨県北杜市)

シリホソハネカクシの一種(山梨県北杜市)

 

 

アオバアリガタハネカクシ
【★★☆☆☆】

サイズ:7mm程度 分布:全国
アオバアリガタハネカクシ アオバアリガタハネカクシ属の一種

©entomart(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paederus_littoralis01.jpg)
やけど虫とも。絶対に触っていけない。触ると、肌がただれ、なかなか直らない。      

 

漢字では青翅蟻形隠翅虫と書く。アオバと名前についているのは、上翅が青いからだが、その青さより赤さが目立つ。

やけど虫(ヤケドムシ)と言われる。強く触ったり潰したりすると、体内の有毒物質ペデリンを含む体液が人に付着し、ミミズ腫れのやけどのような皮膚の炎症を引き起こすためである。

詳しくは「やけど虫」で注意点や対処法を解説。

 

アリガタハネカクシ属
【★★★☆☆】

サイズ:12mm程度 分布:北海道〜九州
アリガタハネカクシ アリガタハネカクシ

アリガタハネカクシ属は4種に分類されるが、オスの交尾器で判別でき、外見での判別は困難。

その区分が生物学的種の単位として妥当かどうかは不明(コアリガタハネカクシとクロサワアリガタハネカクシについては生物学的種であることが2011年に示唆された)。

4種は以下のように地域分布しているとされる。

中国地方、九州:ワダアリガタハネカクシ
紀伊半島:アリガタハネカクシ
関東、東海地方において側所的に分布:クロサワアリガタハネカクシ、コアリガタハネカクシ
東日本~北海道:コアリガタハネカクシ(ルイスオオアリガタハネカクシ)

サビハネカクシ

サイズ:14mm程度 分布:北海道、本州、四国、九州など

サビハネカクシが地面にいる

サビハネカクシの背中は美しい

サビハネカクシの特徴は、頭部から背中、腹部にかけて、黒や白、褐色、青みなどの色で不思議な斑紋や模様が広がる点。眺めていて惹きつけられる。
 

 

キンボシハネカク

サイズ:16〜20mm程度   分布:北海道、本州、四国、九州など

キンボシハネカク

小型のゴキブリなど他を食べる。黄色い体色とその模様はトラカミキリを想起させる。

クロサビイロハネカクシ

サイズ:2cm程度 分布:本州,四国

クロサビイロハネカクシ   

 

クロサビイロハネカクシ

クロサビイロハネカクシ

大型のハネカクシ。ハネを隠す部分は赤銅色、黒色赤みが強い色など個体差がある。      

 

平地、低山、田んぼのあぜ、林、湿地などで普通に見られる。

冬は朽木や石の下で越冬する。

似ている種に、アカバハネカクシ(アカバハネカクシは脚の色が淡い褐色なので区別可能)、クロガネハネカクシがいる。

アカバハネカクシ

サイズ:15~19mm程度 分布:北海道、本州、四国、九州。

アカバハネカクシ   

 

羽を出したまま死んでいたアカバハネカクシ

クロサビイロハネカクシ

比較的大きめのハネカクシ。ハネを収納する部分が赤く、脚も褐色。      

 

生物の死骸や糞などを食べる。

庭や雑木林、公園などで、石や落ち葉をめくるとときどく見つける。

すぐに羽を出して飛び立つ。

名前にアカバハネカクシがつくハネカクシは他にもなんと4種もいる(オオアカバハネカクシ、タテミゾツマグロアカバハネカクシ、ツマグロアカバハネカクシ、ウミベアカバハネカクシ)。

メダカハネカクシ

サイズ:5mm程度 分布:本州など

ハネカクシ

ハネカクシ 黒いハネカクシ 黒いハネカクシ

 

ハネカクシ科メダカハネカクシ亜科に属する。4月から11月にかけて池や落ち葉、朽ち木のあたりなどで見られる。      

 

黒く、マットな質感のハネカクシ。目が大きく飛び出しているのが特徴。

フタホシメダカハネカクシやホソフタホシメダカハネカクシなどがいる。触角や脚の転節部の色で区別できる。上翅(羽を隠している部分)の中央に黄褐色の斑が左右対称に計2つあり、触角と脚も黄褐色なのが、ホソフタホシメダカハネカクシ(写真はホソフタホシメダカハネカクシではない)。

ホソフタホシメダカハネカクシ

サイズ:5mm程度 分布:本州など

ホソフタホシメダカハネカクシ   

 

ホソフタホシメダカハネカクシ(山梨県甲府市)
ハネカクシ科メダカハネカクシ亜科に属する。4月から11月にかけて落ち葉、石の下、雑木林、空き地、朽ち木辺りで見られる。
メダカハネカクシと同じく、黒くマットな質感で、目が大きく飛び出しているのが特徴。背中(上翅)に黄褐色あるいは赤みの強の斑が2つあるのが特徴。

セスジチビハネカクシ

サイズ:2.5mm程度 分布:本州など  分類:ヨツメハネカクシ群/チビハネカクシ亜科

セスジチビハネカクシ

セスジチビハネカクシ セスジチビハネカクシの模様 セスジチビハネカクシの頭

 

茶色で泥のついたような模様(実際に汚れなのかもしれない)。      

 

観察していると、お尻の部分(腹部)は硬そうに見えて、柔らかく動く。目の部分、頭部、胴部、腹部が別々によく動く。

ヤマトヒラタキノコハネカクシ?

サイズ:3mm程度 分布:本州など

ハネカクシがいたキノコ

 

キノコの裏のスジの間でじっとしたり、動いていた。キノコを揺らしたら、たくさんハネカクシが落ちてきた。      

 

ヤマトヒラタキノコハネカクシの特徴は、ハネを隠している部分のはしっこが黒ずんでいる点。また、頭や目も黒い。

似ているハネカクシに、ツヤヒラタキノコハネカクシ、ミイロチビハネカクシ、ズグロアカチビハネカクシ、がいるが、こちらは頭部が体色と同じ明るき褐色。

コガシラハネカクシ属の一種

サイズ:10mm程度 分布:本州など

コガシラハネカクシ属の一種   

 

コガシラハネカクシ属の一種

コガシラハネカクシ

コガシラハネカクシ

コガシラハネカクシの一種(未同定)。      

 

おそらく、本種はヒラタカクコガシラハネカクシかオオドウガネコガシラハネカクシと思われる。

コガシラハネカクシ属も種が多彩で、ルリコガシラハネカクシ、チャバネコガシラハネカクシ、クロコガシラハネカクシ、フタイロコガシラハネカクシ、ヒゲナガコガシラハネカクシ、カクコガシラハネカクシ、ヒラタコガシラハネカクシ、オオアカバコガシラハネカクシなどがいる。

ルリコガシラハネカクシ

サイズ:12mm程度 分布:北海道〜九州

ルリコガシラハネカクシ   

 

ルリコガシラハネカクシ
ルリコガシラハネカクシ

 

瑠璃色の上翅を持つ美しいハネカクシ

オオドウガネコガシラハネカクシ

サイズ:10mm程度 分布:本州〜沖縄 分類:ハネカクシ科/ハネカクシ亜科/コガシラハネカクシ属

オオドウガネコガシラハネカクシ

オオドウガネコガシラハネカクシ

オオドウガネコガシラハネカクシ

       

 

上翅にほのかに金属光沢があり、それがオオドウガネの由来と思われる。明かりに集まり、せわしなく動く。

ハイイロハネカクシ

サイズ:15mm程度 分布:本州、四国、九州など

 

高山帯、山地、高地の森林帯で見つかる。      

 

詳しい生態は分かっていないが、葉上にじっとしていることが多い。

似ているハネカクシに、オオズハイイロハネカクシ、シラフハイイロハネカクシ(九州で見つかる希少種)などがいる。

ハネカクシの一種(調査中)

サイズ:5mm程度 分布:本州など

 

ホソガタナガハネカクシ【★★☆☆】

サイズ:10mm程度 分布:本州など 分類:ハネカクシ亜科群/ハネカクシ亜科

ナガハネカクシ   

 

ナガハネカクシの一種

ナガハネカクシ

ナガハネカクシ

ナガハネカクシ

ナガハネカクシ

細長いハネカクシ。身体全体にハサミムシのようなつやがあり、上翅(ハネをかくす部分)が茶色。      

 

アカマツの上を歩いていた。

ナガハネカクシ亜科の一種?

サイズ:3mm程度 分布:山梨など

ハネカクシの種類   

 

ハネカクシの一種

ハネカクシの一種

9月、台風のあとに集まった落ち葉の下にいた。細長く、茶色い色をしている。体形からナガハネカクシの仲間である可能性が高い。

ハネカクシの一種

サイズ:5mm程度 分布:山梨など

9月、台風のあとに集まった落ち葉の下にいた。体の形はオオハネカクシに似ているが大きさが違う。

キバネチビハネカクシ?

サイズ: 3mm程度 分布:山梨など

キバネチビハネカクシ

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 3mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ:2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 1〜2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 9mm程度 分布:山梨など

ハネカクシの一種

ハネカクシの一種ハネカクシの一種

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 1〜2mm程度 分布:山梨など

ハネカクシの一種

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など



未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 3mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 1〜2mm程度 分布:山梨など


未同定

ヨツメハネカクシ亜科の一種

サイズ: 2〜3mm程度 分布:本州など 分類:ヨツメハネカクシ群

ヨツメハネカクシ   

 

ヨツメハネカクシ

ヨツメハネカクシのお腹

ヨツメハネカクシの頭部

ヨツメハネカクシのお尻

未同定

ハナムグリハネカクシ類の一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など 分類:ヨツメハネカクシ群/ヨツメハネカクシ亜科/ハナムグリハネカクシ類

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

ハネカクシの一種

サイズ: 2mm程度 分布:山梨など

未同定

※ご意見などapply@smallzoo.netまでいただけると有り難いです。

 

ハネカクシの分類・亜科・種類など

ハネカクシの最新の分類は以下です(2019年 Wikipediaより)。

■Omaliinae-group ヨツメハネカクシ群
・Omaliinae ヨツメハネカクシ亜科
・Empelinae
・Proteininae ハバビロハネカクシ亜科
・Pselaphinae アリヅカムシ亜科
・Glypholomatinae
・Microsilphinae
・Micropeplinae チビハネカクシ亜科
・Neophoninae
・Dasycerinae ニセマキムシ亜科
・Protopselaphinae
■Tachyporinae-group シリボソハネカクシ群
・Phloeocharinae
・Olisthaerinae
・Tachyporinae シリホソハネカクシ亜科(シリボソハネカクシ亜科)
・Trichophyinae ホソヒゲハネカクシ亜科
・Habrocerinae
・Aleocharinae ヒゲブトハネカクシ亜科
■Oxytelinae-group セスジハネカクシ群
・Trigonurinae
・Apateticinae オサシデムシモドキ亜科
・Scaphidiinae デオキノコムシ亜科
・Piestinae ヒラタハネカクシ亜科
・Osoriinae ツツハネカクシ亜科
・Oxytelinae セスジハネカクシ亜科
■Staphylininae-groupハネカクシ群
・Oxyporinae オオキバハネカクシ亜科
・Megalopsidiinae メダカオオキバハネカクシ亜科
・Steninae メダカハネカクシ亜科
・Euaesthetinae チビフトハネカクシ亜科
・Solieriinae
・Leptotyphlinae
・Pseudopsinae スジヒラタハネカクシ亜科
・Paederinae アリガタハネカクシ亜科
・Staphylininae ハネカクシ亜科
ウィキペディア(Wikipedia) ハネカクシ

ハネカクシの標高ごとの分布

ハネカクシの標高ごとの分布-2   

 

ハネカクシの標高ごとの分布

出典:信州大学環境科学年報 32号(2010), http://science.shinshu-u.ac.jp/~bios/Evo/itino/pdf/Asaki%20&%20Itino2010.pdf

*PhotoACより

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