『宇宙の果ての外側は?』『この天の川銀河に、人類以外の知的生命体は何万種いる?』
この世界は不思議なことだらけだが、人類が遭遇したもっとも不思議な現象のひとつは『2重スリット実験』だ。
2重スリット実験とは、2つのスリット(すき間)を用意して、そこに量子(電子や光子)を一つずつ発射しても量子は波の性質を示すのに、どちらのスリットを通ったか人間が観測したとたん、量子は粒の性質になる、ということを発見した実験。
「波」と「粒」、ちょっと難しい概念だが、要は、この世界の物質の出会い系は、プールの水のように波で出会うか、粒で出会うか、ということだ。やっと会えることになったあの人に、波のようにふわふわして振る舞っていたらだめかもしれない、そこは粒として(個として)シャキッとしないと。
量子は不思議なことに、「あ、今見られてる」と感づいたとたん、それまでの波の振る舞いから瞬時に粒としての振る舞いに変える。それは2重スリット実験で証明されてる。
その「感づいたとたん」というのが、どうやら時間さえ遡るらしい(つまり、未来を予見)。いよいよ時空への理解に人類は手をかけた。
それは、『量子消しゴム実験』で分かってきた。日本人が考えた実験だ。2重スリット実験をより複雑にして、というか、すごく意地悪な仕掛けを用意して、量子を困らせた。そんなことして神様を怒らせない?
その実験は大学の研究室にあるような精緻な装置が必要だが、イリノイ大学の研究者が僕たちでも手に入る道具を使って簡単に実感できる方法を考案してくれた。
それを家のキッチンでやってみたところ簡単にできたので、その材料、方法を解説する。
もくじ
家庭版『量子消しゴム実験』の材料、実験環境
偏光フィルム
Amazonで売っているものでOK
シャーペンの芯
0.5mmでOK
レーザーポインター
固定スタンド
市販のクリップでOK
スクリーン
暗くできる部屋の白い壁でOK
家庭版『量子消しゴム実験』の方法と結果
❶シャーペンの芯をクリップで挟んで立てて、シャーペンの芯をレーザー光が二分するように当てる。
後ろのスクリーン(or家の壁)に干渉縞が浮かぶのをまずは確認。
干渉縞は量子が波の性質のときにだけできる。プールに飛び込んで起きた波が徐々に混ざり合うと、一定間隔で高い水面と低い水面ができるのと同じ。
❷次に、シャーペンの芯を境に、その両側に偏光フィルムを、向きが90度ずれるように設置する。
つまり、シャーペンの芯の左右の偏光板を90度向きがずれるようにセロハンテープで貼り合わせる。
ただし、レーザーが通る部分にはセロハンテープを貼らないように。また、偏光フィルム同士にわずかな隙間も残してはいけない。シャーペンの芯がぴったり偏光フィルムのつなぎ目に重なるようにつける。
これで、シャーペンの芯の片側は縦偏光、もう反対側が横偏光となる。レーザー光はひとたびシャーペンの芯で分かれたら、進路が二度と重なることはない。
これでふたたびレーザー光を当てると・・・
干渉縞が消える。
量子(光子)がシャーペンの芯の左右どちらを通ったかバレるため、量子は波としての性質を消し、粒として振る舞うために、干渉縞が消える。
❸さらに、シャーペンの芯とスクリーンの間にもう一つ手持ちの偏光フィルムを差し込んで、それをレーザー光と直交する面(垂直面)でゆっくり回転させると・・・
手持ちの変更フィルムが手前のフィルムに対して45度のずれになると、干渉縞がふたたび現れる。
光子がシャーペンの芯の左右どちら側を通ったかという経路が分からないときだけ干渉縞が現れる(という、それっぽい体験だ)。
ほんとは、、
でもほんとは、この実験、量子を一粒ずつ発射していないから、量子消しゴム実験とは言えない。
まず、干渉縞が消えるのは経路を測定したためではなく、偏光の向きや光の強度によるもの。
また、量子を一粒ずつ発射していない以上、干渉縞がないことが量子の波動性が失われたことの証明にはならないし、そもそも量子の経路区別もできていない。
しかし、お手軽に量子の振る舞いが波or粒子で変わることをそれっぽく体感できる点で面白いし、なにより量子の振る舞いをあれこれ考えるので頭を使う。足下の秘密をちょっとだけ発見できた気になれるから、なかなかいい。
ほんとうの量子消しゴム実験とは?〜意味がわかると恐怖感じる
記事準備中。
こちらの動画が比較的分かりやすい↓