いわゆる「バカ」「ひっつき虫」「くっつき虫」として知られるキク科オナモミ属の植物。国内では主に4種分布する(オオオナモミ、オナモミ、イガオナモミ、トゲオナモミ)。
その簡単な見分けをご紹介。
オオオナモミ、オナモミ、イガオナモミの違い、見分け方
オオオナモミ、オナモミ、イガオナモミは以下のおり、形状で見分けられる。
オナモミ(日本在来種)
種子の大きさは8〜18mm程度とオオオナモミよりも小ぶり。トゲが短く、実が太っていて、ゆるキャラ。
オナモミは在来種(正確には史前帰化植物とされる)。急激にその個体数を減少させ、現在は絶滅危惧(VU)に指定。野生で見られるものの多くはオオオナモミである。とくに西日本では、専門家でも野生のオナモミは見たことがないという。
オオオナモミ(外来種)
種子の大きさは18〜25mm程度とオナモミよりも大ぶり。トゲが長く、身が細い。
オオオナモミは外来種。北アメリカ原産で、その強い繁殖力で世界中に広がった。現在は、日本のみならず、ヨーロッパやオセアニア、広くアジアに移入し定着した。
オナモミはオオオナモミによって個体数が減った可能性がある。
オナモミの毒性
オナモミの種子には果苞が2個入っており、ここにカルボキシアトラクティロシドという有毒成分が含まれる。この成分は糖新生を抑制したり、低血糖を惹起するとされ、大量に摂取した牛が死亡する事例も報告されている。
オナモミの効能
オナモミにはリノール酸などの特殊な脂肪油が含まれ、これが動脈硬化の予防に役立つとされる。実際、漢方薬としても古くから利用されてきた。
ただし、前述のとおり、果実や葉に毒性があり、その用量には注意が必要。