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ニホンアカネはアカネ科アカネ属の多年草。昔、止血・解熱薬として利用された。
茎から4枚のハート型の葉が輪生する(輪生とは、茎の一つの節から葉が三枚以上つくこと)。
山野や林、道ばたに自生し、他の植物に絡まるように繁茂する。下向きの細かいトゲが生えているため、他の植物に容易に絡まる。人が触れば、肌や服にひっかかる。
根は古来から茜染めの染料として珍重されてきた。とりわけ平安時代の宮廷ではニホンアカネが生み出す赤色が高貴な色として扱われ、十二単の赤系の染めや武士の鎧の装飾具の染めに使われた。

その染色技法には非常に繊細な技法が求められ、とくに色の「止め」には、媒染など職人の感覚が試される。ニホンアカネの染めの技術は平安時代に頂点を極め、室町時代に途絶えた。
そのため、平安時代末期に作られた武士の鎧『赤糸威鎧(武蔵御嶽神社 所蔵)』に施された茜糸による刺繍は、800年経った今も鮮やかな赤色をしているが、明治時代に修復された部分の同じく茜染めの赤はもう褪色している。
そう聞けば、茜染めは平安時代からと思うかもしれないが、少なくとも弥生時代には茜染めは存在していた。吉野ヶ里遺跡(弥生時代)から日本茜で染めた絹の遺品が出土しているためである。
また、魏志倭人伝にも、日本茜で染められた絹布が大陸側へ献上されたとの記述が残っている。
もくじ
ニホンアカネのデータ
種類 | 多年草 |
分類 | アカネ科/アカネ属 |
高さ | 〜1m(つるの長さは3mになる) |
分布 | 本州、四国、九州 |
学名 | Rubia argyi |
別名 | アカネ、茜 |
生態 特徴 | 果実は赤くなり、黒く熟す。 本州以西の山野に自生する。 秋に緑、淡黄、白色の小さな花を咲かす。 根は黄赤色で、アリザリンなどの色素を含むため、染料として利用されてきた。 アカネの根を掘り起こし、乾燥させ、煮出して染液とする。この液に絹や麻を幾度も染め重ね、さらに灰汁などで媒染することで、褪色しにくい赤が生まれる。 枕詞「茜さす」は、日の出や夕焼け時など、茜色の光がさし込んで、赤く輝いている空の様子を指す。 |
ニホンアカネの写真









