分類
昆虫綱/トンボ目/カワトンボ科/アオハダトンボ属
見かける頻度
★★★☆☆
ハグロトンボの大きさ
体長57〜68mm
見かける時期
5〜10月
分布
本州・四国・九州
ハグロトンボの特徴・生態
中型のとんぼ。少し田舎の、ゆるやかな清流や小川で見つけられる。小さな虫を捕まえて食べる。
黒色の翅に明瞭な筋模様が浮き立つ。胴体は金属光沢を帯びた緑色。本州から九州にかけて水辺でよくみかける。オスは体に緑色の金属光沢があり、メスはマットな黒褐色、暗紫色。
川辺をひらひらと舞うように飛び、頻繁に水辺の草にとまる。草木にとまるときは、四枚の羽根を少し広げた状態で動かしたり、ときには重ねて綺麗に閉じる。
ハグロトンボとご先祖様・お盆
黒い羽は喪を思わせ、本種がお盆の時期になるとよく見かけることもあり、地域により、「精霊(しょうりょう)とんぼ」、「神様とんぼ」、「仏(ほとけ)とんぼ」なども別称も持つ。甲府では、お盆にご先祖がこの虫になって戻ってくるといういわれがあり、ハグロトンボを見てお盆を連想する年配者も多い。
草木にとまったハグロトンボは、翅(はね)を丁寧に開いたり閉じたりするが、その様子は人がご先祖に手を合わせて祈る姿を連想させ、そんな習性も本種が全国各所で、ご先祖の魂と結びつけられてきた理由かもしれない。
50年程前なら、たとえば甲府市なら国母などの市街地・中心地の小川で一般的に見かけられたが、現在は水質環境の悪化や生息場所の減少により、個体数は減り、まず見かけなくなった。全国的にも、自治体によっては絶滅危惧種に指定されている(東京など)。
ハグロトンボとアオハダトンボの見分け方
同じアオハダトンボ属のハグロトンボと非常によく似ているが、区別方法は以下。
- アオハダトンボの方が翅が太く、湾曲している。ハグロトンボの方が翅が細い。しかし、この特徴だけで見分けるのは難しい。
- アオハダトンボの方がひとまわり小さい(アオハダトンボは体長55mm前後で、ハグロトンボは63mm前後)。
- アオハダトンボのメスの翅の先端に白い「偽縁紋」がある(下の写真)が、ハグロトンボの雌には白い「偽縁紋」はない。このポイントでアオハダトンボのメスは確実に見分けられる。