「飛ぶ宝石」、「宝石蜂」とも呼ばれるセイボウ(青蜂)の図鑑です。その種類と生態、飼い方を解説します。
日本のセイボウ科には4亜科16属49種が記録されています。腹部が3節でトックリバチやドロバチ、スズバチに寄生するセイボウ亜科(37種)、腹部が5節でハバチ類のサナギに寄生するセイボウモドキ亜科(6種)、腹部が4〜5節でナナフシの卵に寄生するナナフシバチ亜科(5種)とカブトバチ亜科(1種)が知られています*。ここではその一部をご紹介(随時更新)。
*寺山ら2005、日本産有剣膜翅類検索表
もくじ
日本のセイボウ(青蜂、別名「飛ぶ宝石」「宝石蜂」)の種類
※クリックすると写真が大きくなります。
名前【珍しさ(★が少ないほど珍しい)】 | 特徴・生息場所・見つけ方 |
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セイボウ亜科 |
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クロバネセイボウ
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全体的に青い金属光沢。部分的に青みが異なる。また、光の当たり具合で、一部明るいエメラルドグリーンにも輝く。 動きがすばしこく、触角を目前の対象物にトントン充てたり、沿わせるようにして様子をうかがう特徴がある。 ヤマトルリジガバチ(単にルリジガバチとも)というクモを捕る蜂に寄生する(ルリジガバチはほかにもミドリセイボウやフタオビオオハナノミにも寄生される。また皮肉にもクロバネセイボウのように美しいルリ色をしている)。 お尻には4つの突起がある(写真2枚目)。これに対して、ミドリセイボウは5つの突起がある。 新鮮な花をいれれば、虫かごでしばらく飼える。 |
ミドリセイボウ
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身体は青緑色だが、クロバネセイボウに比べて緑色が強い。 お尻には5つの突起がある。 クロバネセイボウと同じく、親は卵をヤマトルリジガバチの巣に産み、幼虫はヤマトルリジガバチに寄生して育つ。 |
ハラアカマルセイボウ
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頭と胸部は緑に輝き、腹部は赤銅色に輝く。 宿主はツチスガリに寄生する。 オオセイボウと同様、腹部に丸みがあるが、大きさの違いと腹部の色で判別できる。 |
オオセイボウ
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オオセイボウはクロバネセイボウと同じく4つの突起がお尻にある(写真あり)。 全身にかけて、青光沢、緑光沢、紫光沢を持つ。 6~10月にかけて見られる。 筆者が初めて見たセイボウはオオセイボウで、ふとすぐ目の前にホバリングで停まり、すぐに俊敏に去って行った。そのときの感動は今も忘れられない。 公園などに咲くオミナエシなどの花にくる。 幼虫はスズバチ、トックリバチなどの巣に寄生して育つ。 |
リンネセイボウ
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頭部や胸部は緑色、腹部は赤色のため、色の配置はハラアカマルセイボウと似る。しかし、腹部の丸みがないため、判別は容易。 お尻の先にはクロバネセイボウと同じく4つの突起がある。 幼虫はドロバチの仲間(オオフタオビドロバチ)に寄生する。 |
ムツバセイボウ
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頭部、胸部は青緑色で、腹部は黄金色から青緑色へと変わるグラデーション(虹色)が見られる。 お尻の先には6個の突起が見られる。六歯(むつば)が名前の由来。 幼虫はヤマトフタスジスズバチやドロバチに寄生する。 |
イラガセイボウ(イラガイツツバセイボウ)
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全体的に青緑色で、腹部は黄金色の部分もある。お尻の先には6個の突起が見られる。 梨などの果樹園にいる。イラガの繭のなかにいる幼虫に寄生する。 |
ホソヨツバセイボウ
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頭部、胸部は緑が緑光沢を帯び、腹部は見事な虹色。 お尻の先には4個の突起が見られる。 ムツバセイボウと似ているため、見間違うことがある。 |
イワタセイボウ
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頭部、胸部は青色が混ざる緑光沢を帯び、腹部は赤光沢が強い。 白い小さな花に集まる。 |
セイボウモドキ亜科 |
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セイボウモドキ亜科
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セイボウモドキ亜科はとくに知見が少ないセイボウのグループ。セイボウ上科/セイボウモドキ科に分類される場合もある(旧分類?)。 セイボウモドキ亜科は国内では6種知られるが、いずれも知見は極めて少なく、生態や寄生宿主はほとんど分かっていない。 |
ナナフシバチ亜科(5種) |
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カブトバチ亜科(1種) |
セイボウ(青蜂)の飼育方法・飼い方は簡単〜花を入れておくだけ
きれいな蜂なのでシーズン中の一時(いっとき)だけでも、手元で眺めたいと思う人もいるのではないでしょうか。
そこで一週間くらいの短い期間、飼育する方法を解説します。
毎日新鮮な花を入れるだけです。クロバネセイボウならノウゼンカズラやレンゲの花、オオセイボウならハルジオンやオミナエシの花をいれておくといいでしょう。
繁殖は難しいです。この蜂は寄生蜂といって、ドロバチやジカバチ、トックリバチの巣に卵をこっそり産んで、幼虫はその宿主の中で育つためです。
詳しくはこちらもご参考ください。