タマムシの顕微鏡観察
タマムシもテントウムシなどと同じく、足の裏にびっしり白い毛が生えています。これは虫がクライマーになるための器官です。
ふつう、虫が壁にくっつくというと、フックやかかぎ爪を使うことをイメージしがちですが(タマムシはかぎ爪も使うのですが)、まったく原理が違う別の方法でも壁にくっつく仕組みも持っています。
その原理は「分子間力」「ファンデルワールス力」と呼ばれるものです。タマムシの体とつっくつ先(枝や壁)が触れる面積(接触面積)が大きいほど、さらにその距離が短いほど強く働く力です。
もしこのむしのあしうらの「毛シート」をかりに1メートル四方作ったとしたら、くるま1台をもちあげる力にもなるそうです。
これだけではなかなか感覚的に飲み込める話ではないです。でも重力もそうですが、この分子間力も、どのような強さで働くか計算予測はできても、なぜ存在するか突き詰めると専門家でもまだよく分からない部分があると聞きます。
このタマムシ、写真にもあるように、立派なかぎ爪も持っていますから、かぎ爪によるひっかけと毛シートによる分子間力の合わせ技で壁や枝を登っていくことになります。くっつく先がどんな素材かによって、使い分けてるかもしれません。
足の話はここまで。
次はなんといっても、その美しい背中。
タマムシの背中を顕微鏡を見ていると宇宙をながめているようでした。理科の授業で観察した葉っぱの気孔のようなくぼみがタマムシの背中に無数にあります。むろんこれは呼吸のための器官ではないでしょう。もしかしたら背中の美しい模様を紡ぎ出すのになにか役目をもっているかもしれません。その金属光沢のしくみはまた今後詳しくふれたいところですが、まずはこのタマムシの背中の小宇宙をとくとご覧ください。
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