タシギは河原の中洲や水田、湿地などに生息し、泥の中の昆虫やミミズ、貝類(カワニナ、ミヤイリガイなど)をくちばしで器用に挟んで食べるシギの仲間。
タシギの分類
チドリ目/シギ科/タシギ属
タシギの大きさ
全長27cm
タシギの分布・見られる季節
旅鳥、候鳥(日本全国)
冬鳥(本州中部以南。山梨県だと秋から春にかけて6ヶ月ほど見られる)
シギ(鴫)の漢字の由来
シギ(鴫)は田に鳥と書きますが、その由来は『田に来る鳥』だからです。
柔らかいくちばしで器用な餌取り
シギ類にみられる特徴は、くちばしが異様に長く、その先端が柔らかくなっていて開閉できる点(嘴端開閉、したんかいへい)。タシギの場合は、くちばし先端2cm前後が柔らかくなっています。
このような構造のくちばしは、泥や田んぼの中にいる貝や虫を探し当てて捕食するのに有利で、くちばしを根本まで突き刺して虫を探します。
タシギの見事な擬態
もともと長いくちばしという(天敵に見つかりやすい)ハンデを負っているからか、体は茶色、褐色、黒色を見事に織り交ぜて擬態色を成立させています。さらにその行動も見事で、周囲の枝たまりに何時間もじっとしていたり、草陰に入り混んだりして周囲と一体化し、猛禽類などの天敵に気づかれにくい生態を持ちます。もっともタシギは(半)夜行性なので、昼間は河原の漂着物だまりや岸に生える草に寄り添って擬態しています。擬態して昼間に堂々と河原にいるということは、その上を飛ぶ猛禽類はその目をもってしてもタシギの存在に気がつけないのかもしれません。
筆者も撮影の際、河原を長時間眺めていたのに、すぐ目の前にタシギが4羽もいるのにずっと気がつかなかったことがありました(下写真)。
危険を察知したり、擬態の臨界点を超えると、「ヂェッヂェッ」と声を上げて、直線的に飛び立っていきます。らせん状に舞い上がると書く図鑑もあります。