タカハシトゲゾウムシは森林や山地に生息するゾウムシ亜科の日本固有種のゾウムシ。希少。
もくじ
分類
コウチュウ目/ゾウムシ科/ゾウムシ亜科
分布
本州、四国(高知)、九州。
ただし、報告のない、あるいは数例の報告例のみという県もある。
体長
4.3mm程度(吻は含まず)
特徴
上翅(背中)の胸部側に見られるV字模様はムネアカセンチコガネのそれを連想させる。
また、成虫の上翅には棘(トゲ)があり、トゲハムシ亜科を連想させる(たとえばクロルリトゲハムシなど)。
そのトゲに勝るとも劣らぬ特徴が、長い後脚にある大きく黒いコブ。そのコブをよく見れば、後方に歯車のようなノコギリ歯が備え付けられている。そして、後脚(脛節)は折り曲げてもそのノコギリ歯に当たらないよう弓状に湾曲しているから、葉っぱなどをそこに挟み込んで切り出す役目があるのかと想像してしまう。茎に切れ込みを入れるのかもしれない。
しかし、けっきょくのところ詳細は不明である。たとえささいな構造でもいつもひそかな機能があったから、このノコギリ歯にも本種が生きているために必要な役目があるのだろう。それを思えば、森の営みの音を聞くような想いがする。
生態
森林の多い公園や山地に生えるヤマザクラ、ソメイヨシノなどのサクラ属の樹木の葉などで見られる。ウワミズザクラにいた報告もある。比較的標高の高い地域に生息すると思われる。
スウィーピング(Sweeping、木の枝先や葉の茂る部分などを網で何度も軽くなでるようにして虫を捕まえる方法)で採れることがあるが、まれ。
幼虫はヤマザクラやスモモの葉の内部に潜って成長するとされる(潜葉虫)。ゆえに、スモモの害虫としての記録があるが、個体数が少ないためか、実害の報告は見当たらない。
ヤマザクラの葉で飼育、羽化できる可能性がある。
タカハシトゲゾウムシは絶滅危惧種
タカハシトゲゾウムシは多くの自治体レッドデータブックに記載されている。
栃木県、京都府、福井県では要注目種。大分県、福岡県、高知県では情報不足(DD)として記載されている(2021年)。
実際のところ、全国的に観察例が非常に少なく、生息状況など実態が分かっていない。