カッコウ〜150年前から進化論を惑わせつづける鳥

カッコウ〜150年前から進化論を惑わせつづける鳥
2020/07/05

【分類】カッコウ目/カッコウ科/カッコウ属 Cuculus
【体長】18〜19cm
【見かける時期】日本に5月ごろ飛来(夏鳥、日本で繁殖)
【生息地】全国

カッコウの生態・特徴

カッコウのオスは、初夏に大きくよく響く声で「カッコウ」「クックウ」と鳴きます。鳴き声が鳥の名前になった鳥の代表格ですが、世界で見られるカッコウはやはり外国でもその鳴き声が鳥名の由来になっています。

  • イギリス:cuckoo
  • ドイツ:kuckuck
  • フランス:coucou(ククー)
  • 中国:郭公
  • フィンランド:Käki(カッキー)
  • アラビア語:アルワクワッコー
  • アイルランド語:Cnuc

Cuculusという学名(属名)も鳴き声に由来します。

メスはオスに比べ地味に「ピピピピ」と鳴きます。

一見、体の胸の模様や頭の配色でチョウゲンボウに見えることがあります。

カッコウの托卵〜進化論の大論争

カッコウはオオヨシキリやホオジロ、オナガの巣などに託卵します。托卵とは、多種の鳥の巣に自分の卵(カッコウの卵)を産み付けて、その巣の親鳥(里親)に子育てをさせる行動です。

この托卵が150年前から進化論を惑わせ、生物学者を悩ませてきました。

托卵には、卵の柄の巧妙な疑似、生まれた雛の他の卵や雛への敵対行動、里親への餌のねだり行動など、実に巧妙な進化がかかわっています。それをひとえにダーウィンの進化論(ここでは、突然変異を根底とする自然選択説(ダーウィニズム)の意味)だけでは説明できないと主張する研究者もいて、生物学上の大論争が長年続いてきました。

現在は、カッコウ側の進化は里親側の進化も促し、お互いが一方向進化を極度に加速させる状態となる「進化の軍拡競争」(片利片害の共進化の一種)として解釈されるようになり、基本的には自然選択説の一つとの見なされることが一般的となりつつります(ただし今後の論争でどう解釈が変わっていくかは分かりません)。

進化の軍拡競争は、カッコウの托卵の進化だけでなく、「病原ウイルスと人の免疫機能の発達」や「抗生物質と耐性菌の誕生」、「虫の擬態の進化と天敵の見破り」にも適応できる重要な理論として近年注目されています。ただし、軍拡競争という考えは概念に過ぎず、具体的に目や翼や托卵が成立した経緯を解明したものではありません。もし、将来眼や翼や托卵という進化を成り立たせた駆動力を具体的に説明する説が誕生すれば、その説を打ち立てた人はダーウィンと肩を並べることになるでしょう。

カッコウの写真

カッコウ
カッコウ(山梨県韮崎市)
カッコウ
カッコウ(山梨県韮崎市)
カッコウの若鳥
カッコウの若鳥(ACフォト cb1300さんより)

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スモールズー

スモールズー

中部地方・関東地方を中心に虫や鳥、魚の写真を撮っています。