【2021年7月最新】新型コロナは人工的(人為的)に作られたウイルスか?学術論文で検証

【2021年7月最新】新型コロナは人工的(人為的)に作られたウイルスか?学術論文で検証
2021年6月2日

ここでは新型コロナウイルスが人為的(人工的)に作られたウイルスであるかどうか、学術論文で検証する【随時更新】。

基本的に、第三者(同分野専門家)の査読を受けた論文を根拠とし、著名なニュースサイト(BBCなど)が報じたニュースは参考情報として付記する。

結論から言うと、新型コロナウイルスは人為的・人工的に作られたものではなく、やはり自然に発生したものであるように思える(ただし、どこから発生したかは不明。このページの論点でもない)。

この記事を書いた人
博士(環境学)。詳しくはこちら

もくじ

そもそも学術論文・学術雑誌・エビデンスとは?

そもそも学術論文とは何か?エビデンスとは?

論文(学術論文、科学論文とも)は主に博士号を持つ研究者、学者によって書かれ、その専門の他の学者によって査読(チェック)されたのち学術雑誌に掲載される文章のこと。『実験データや結論や仮説』を含む。査読されている段階で、その正しさはある程度担保されるが、ほんとうに正しいかは他の学術論文により、時の精査を受けていくことになる。

世界で最も権威ある学術雑誌、Nature。ここに掲載された論文でも間違っていたことがある。2014年、Natureに掲載されたSTAP細胞の論文は、ニュースでもセンセーショナルに伝えられたが、その後時の検証を受けて今はほぼ全て否定された。1953年に同雑誌に掲載されたDNAの二重らせん発見(ワトソンとクリック)の論文は時の検証を経て科学の常識となった。

正しければその存在を増していき、間違っていればその論文は時の藻くずとなる。『論文が学術雑誌に掲載された=その論文が正しい』とは言えず、時の検証を待つ必要がある。

以下に紹介していく新型コロナウイルスの論文も、これから時の検証を受けていくことになる。しかし、今得られる最新の情報であることに違いない。ツイッターやyoutubeの書き込み、ブログの記事は、出典がはっきりしていない場合が多い点、また、専門家による第三者の査読を受けていないため、ここでは出典としてない。

【予備知識】コロナウイルスの名前が『SARS-CoV-2』で、病名が『COVID-19』

新型コロナウイルスの名前はSARS-CoV-2。病名はCOVID-19。

区別すべき2つの点

1つ目は『新型コロナウイルスは武漢の研究所から流出したか?』、2つ目は『新型コロナは人工的に作られたウイルスか?』。混同されがちだが、別のこと。

『新型コロナウイルスは武漢の研究所から流出したか?』

過去にSARSなど危険なコロナウイルスに直面してきた中国なので、コロナウイルスの野生株を集めて研究するのは自然なことで、実際に集めてきた。過去に収集したコロナウイルス野生株が流出し、今回の新型コロナの流行を引き起こした、という可能性については、関連論文が見当たらないため、ここでは検証の対象としない。

『新型コロナは人工的に作られたウイルスか?』

こちらは学術論文が出ている範囲で検証できる。

ちなみに、以下に挙げる学術論文は英語だが、CHROME(ブライザ)を開いてgoogle翻訳アドインを入れれば、日本語でも少し読めるので、一般の人にもおすすめ(むろんそうしたからと言って専門用語満載の論文内容が理解できるとは限らないが)

【2013.10 Nature】ACE2レセプターをターゲットとするコウモリ由来SARS類似コロナウイルスの分離と特徴解析

出典:Ge, Xing-Yi, et al. “Isolation and characterization of a bat SARS-like coronavirus that uses the ACE2 receptor.” Nature 503.7477 (2013): 535-538.

SARSのようなコロナウイルス(SL-CoVs)はすでに中国、欧州、アフリカのコウモリから報告されているが、いずれもSARS-CoVの先祖ではなかった(ターゲットとする宿主側受容体分子が違ったため)。

雲南省で見つかったコウモリを宿主とする2つの「コウモリから見つけたコロナウイルス」(RsSHC014、Rs3367)は、ヒトのレセプターACE2を利用して感染を成立させることがわかり、SARSの自然宿主であることが分かった。それらのウイルスを分離し、全ゲノムを解読した。

【2020.2 Nature】コウモリ由来の可能性のある新型コロナウイルスによる肺炎の発生

出典:Zhou, Peng, et al. “A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin.” nature 579.7798 (2020): 270-273.

2019-nCoV(現在は、SARS-CoV-2と呼称?)のゲノム解析で、以前にコウモリから検出されたコロナウイルスと96%一致した。また、7つの保存性非構造タンパク質ドメイン(ウイルス粒子の構造に関与せず複製に関与するタンパク質のこと?)のPairwise protein sequence分析(タンパク同士の配列のアライメント)により、このウイルスがSARSr-CoV(SARSコロナウイルスはSARS-CoV。rのつく「SARSr-CoV」も同様にSARS?)の種に属することを示唆された。

【2020.2 Antiviral Research】新しいコロナウイルス2019-NCoVのスパイク糖蛋白質は同じクレード(生物分岐群)のCoV(コロナウイルス)には存在しないフリン様切断部位を含んでいる

出典:Coutard, Bruno, et al. “The spike glycoprotein of the new coronavirus 2019-nCoV contains a furin-like cleavage site absent in CoV of the same clade.” Antiviral research 176 (2020): 104742.


新型コロナのスパイクタンパク質に、類縁のコロナウイルスにはふつう見られないフーリン(タンパク質)様切断部位があった(フーリンタンパクのWikipediaはこちら)。そのため今回の新型コロナウイルスは特殊なタンパク質を持つ。エクス=マルセイユ大学(フランス)の研究者が第一執筆者。

これを論拠としてウイルス人為説を展開するメディア

以下はこの論文を根拠としてウイルス人為説を展開している(ただし、学術論文ではなく、第三者の学者によって査読されていない)。

【2020.6 Current Biology】SARS-CoV-2に近縁なコウモリ由来の新しいコロナウイルスに、スパイクタンパク質のS1 / S2切断部位に自然な挿入配列が含まれていた

出典:Zhou, Hong, et al. “A novel bat coronavirus closely related to SARS-CoV-2 contains natural insertions at the S1/S2 cleavage site of the spike protein.” Current biology 30.11 (2020): 2196-2203.

中国の研究者らの研究。新型コロナウイルスのゲノムはすでに公開されており、それと比較して現在のデータベースの中で一番近縁なコロナウイルスを見つけた。その株も感染性に関わるタンパク質に自然な変異が見られたという内容。メタゲノムの手法を用いた。

具体的には、SARS-CoV-2に近縁なコウモリ由来の新しいコロナウイルスに、スパイクタンパク質のS1 / S2切断部位に自然な挿入配列が含まれていた。メタゲノミクスという分析手法でコウモリから新しいコロナウイルス(RmYN02)が特定され、このウイルスのゲノムは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に最も近い近縁種だった。また、RmYN02には、宿主への感染性に関わる部分であるスパイクタンパク質の S1/S2 切断部位に特有の塩基配列の挿入が認められた。

【2020.9? 財団のレポート?】SARS-CoV-2ゲノムに通常とは違う特徴があるため、自然な進化というよりは、技術の高い実験室での人為的変更があったと示唆される

出典(査読付き論文ではない?):Unusual Features of the SARS-CoV-2 Genome Suggesting Sophisticated Laboratory Modification Rather Than Natural Evolution and Delineation of Its Probable Synthetic Route(2020, Rule of Law Society & Rule of Law Foundationのレポート?(ルール・オブ・ロー・ソサエティ&ルール・オブ・ロー財団))

掲載先の学術雑誌は記述されておらず、財団のレポート?第三者の同分野専門家による査読も経ていない可能性があり、学術論文の定義からははずれる可能性が高いが、世間的には注目されたため、参考として掲載。

論文中では、人工的に操作された根拠の一つとして、

1. SARS-CoV-2のスパイクタンパク質内の受容体結合モチーフ(RBM)が、2003年のSARS-CoV(いわゆるSARSウイルス)に一致している点

2. SARS-CoV-2は、スパイクタンパク質に独自のフーリン切断部位を含んでいる点 など

ただ、1については、センザンコウから見つかったコロナウイルスのこの部分も、新型コロナウイルスのものと一致しているため、当該部位が新型コロナウイルスのものとSARSコロナウイルスのものが似ているというだけでは、新型コロナウイルスが人為的に作られた証拠にはならない可能性がある。

また、2については、上述のCurrent Biologyの論文内で報告されたRmYN02(SARS-CoV-2に最も近縁なコウモリ由来の新しいコロナウイルス)の同タンパク質をコードする配列にも、SARS-CoV-2と近縁な配列があるため、それだけではSARS-CoV-2が人為的である根拠にならない可能性がある。

こちらはhtml版(上と同じ論文)

【2021.5 Science(意見書)】COVID-19の起源の再調査 意見書

出典:Investigate the origins of COVID-19(2021.5 Science(意見書))

Jesse Dら(Basic Sciences and Computational Biology, Fred Hutchinson Cancer Research Center, アメリカ)が執筆。学術論文ではなく、政府や国連、世間に警鐘を鳴らす書簡。より科学的に新型コロナウイルスの起源を調査すべきだと求めた。陰謀論を示唆する意図がないことを前置きした上で、世界保健機関(WHO)の調査結果(武漢の研究所からウイルスが流出した可能性はきわめて低いという報告結果)は検証が不十分で、研究所から事故によって流出した可能性が排除できないため、パンデミックの発生源をより詳細に調査すべき、と提言。

【2021.7? Quarterly Review of Biophysics Discovery】「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ

出典:未発表論文(雑誌名はQuarterly Review of Biophysics Discoveryという権威のある査読付き論文に発表されると2021年7月に報道)

※論文が発表されると以下のニュースなどで報道されている。論文がまだ公表されていないようなので(確認日時はこの記事の更新日時)、詳細はまだ不明。報道によると、セント・ジョージ大学(ロンドン)で腫瘍学が専門の研究者とノルウェーの製薬会社(イミュノール社)の会長(生物学者)が執筆者とのこと。論文は、ウイルスが人工的に改ざんされた痕跡を発見した、という内容であるらしい。詳細はまだ不明。

以下は彼らが2020年7月に執筆したレポート?(学術雑誌名の記載はなし、査読があったかも不明)

結局、新型コロナは人工的・人為的に作られたウイルスか?

これからも学術論文が提出され、検証されていく段階であるので、まだどちらともいえない。

『ないことの証明』は『悪魔の証明』

『この世には悪魔なんていない?そう言うなら、それを証明してみろ』。

『ないこと』を証明することは基本的に不可能で、その無理な証明を求められることを『悪魔の証明』と呼ぶことがある。

『あること』は証明しやすい。『科学者が見て疑いようのない』証拠を一つでも示さばいいから。一つでいい。そうすれば『あること』はすぐに証明される。『科学者が見て、疑いようのない』を得るプラットフォームは、人類の科学の歩みがすでに完備している。

地球外生命体がいるかどうかも、一例でも見つかれば、『あること』はすぐに証明される。『ないこと』はこの銀河と銀河の外側のすべてを調べないといけないので証明できない(真実は証明いかんとは別に横たわっている)。

新型コロナウイルスで考えると、

・『人為的に作られた』⇒『あること』の証明で、

・『人為的に作られていない』⇒『ないこと』の証明(『悪魔の証明』の方)

かもしれない。もっとも、ウイルスのゲノムの塩基配列は細胞生物のゲノムに比べればはるかに短いから、『人為的に作られていない』証明も『あること』の証明の範疇に収まると言えるかもしれないが。

『人為的に作られた』の証明は、『人為的に作られていない』の証明よりも、はるかに容易であるはずだが・・・

それでも、『人為的に作られた』ことの証明は、『人為的に作られていない』ことの証明よりも、はるかに容易であるように思う。学者が見て否定できない証拠を一つでも示せば証明できるのだから。学者は先人への敬意のもと、フェアに物事を判断する、判断しようとする訓練を高度に受けている。新型コロナウイルスのゲノムはすでに全解読され公開されていて、世界中の研究者がネットブラウザを開けばすぐにその塩基配列を入手できる状態である。にも関わらず、判然とした『あること』の証明はまだ提出されていない。

そう考えると、新型コロナウイルスはやはり『自然発生』であるように思える。むろんこれは個人的な見解である。

この記事を書いた人の経歴

博士(環境学)。環境中に分布するウイルス(主にバクテリオファージ)の定量、ゲノム分析の研究経験あり。コロナウイルスや免疫学の専門ではない。

執筆論文

Otawa, K., Lee, S. H., Yamazoe, A., Onuki, M., Satoh, H., & Mino, T. (2007). Abundance, diversity, and dynamics of viruses on microorganisms in activated sludge processes. Microbial ecology, 53(1), 143-152.

Otawa, K., Hirakata, Y., Kaku, M., & Nakai, Y. (2012). Bacteriophage control of vancomycin‐resistant enterococci in cattle compost. Journal of applied microbiology, 113(3), 499-507.

Otawa, K., Satoh, H., Kanai, Y., Onuki, M., & Mino, T. (2008). Rapid quantification of total viral DNA in the supernatants of activated sludge samples with the fluorescent dye PicoGreen®. Letters in applied microbiology, 46(4), 434-438.

Lee, S. H., Otawa, K., Onuki, M., Satoh, H., & Mino, T. (2007). Population dynamics of phage-host system of Microlunatus phosphovorus indigenous in activated sludge. Journal of microbiology and biotechnology, 17(10), 1704-1707.
ISO 690