クロレラは近くの池にいます。
ミジンコの培養、メダカの飼育水など幅広く使われているクロレラ。
ここでは、クロレラを身近な道具だけで池から採取して簡単に培養する方法を解説します。エアレーションも温度管理も必要ない、ごく簡単な増やし方です。
※この方法で培養したクロレラを食べたりしないでください。あくまでメダカ、クマムシなどのエサや学習用・顕微鏡観察用としてお使いください。
もくじ
準備するもの
池の水
コンクリートの池よりも、池底が土で水草が生えているような池の水が理想です。
採取する時は、水草や藻や土を一緒に採るようにするとクロレラが入る可能性が高いです。つまり、クロレラがいなければその後培養してもクロレラが増えることはありません。なので、何カ所か違う池の水を集めるとクロレラ培養が成功する可能性が高まります。
網は使わず、使い捨てコップやペットボトルを半分に切ったものをつかうと便利です。
天然水ペットボトル
500mlか1Lの天然水で大丈夫です。10日後にもう1本使います。メーカーはできれば南アルプスの天然水や六甲のおいしい水、Volvicなどの軟水を使います。evianなどの硬水だと培養しにくくなるようです(おそらくマグネシウムイオンやカルシウムイオンが多いことが原因で)。
植物栄養剤
『活力液』、『ハイポネックス』など、ホームセンターで売っているもので大丈夫です。
顕微鏡(観察する場合のみ)
身近な道具ではありませんが、クロレラを観察する際にどうしても必要です。400倍あれば鮮明に観察できます(100倍でも見れなくはない)。
培養方法
1. 池の水と植物栄養剤を天然水に投入
天然水ペットボトルを開封し、よくかき混ぜた『池の水』5mlほど(小さじ1杯程度)と、植物栄養剤0.5ml(10滴ほど)を入れます。キャップをしてよくかき混ぜます。
2. 日光の当たる場所で10日間放置
日が当たるなら、野外でも室内でも構いません。凍らないようにします。
ときどきキャップを開けてガス抜きをしたり、振って中身をかき混ぜます。
3. 純粋化(新しい水へ継代)
10日放置したペットボトルをよくシェイクして1分放置。その上澄みをキャップ一杯とり、新しい天然水ペットボトル(植物栄養剤0.5ml入り)へ投入します。ふたたび、10〜20日、日の当たる場所で同じように放置。これで、クロレラがより純粋化されつつ培養されます。ただし、はじめの池の水にクロレラがいなかった場合は培養されません。
顕微鏡で観察するときは100倍〜400倍。緑色の、かわいいつぶつぶが見られるでしょう。顕微鏡は以下がおすすめ(SWIFT社は低価格で高倍率かつ双眼で観やすい)。
そもそもクロレラってなに?
クロレラは顕微鏡を使わなければ見えないほど小さい淡水性単細胞緑藻類です。分類としては、クロレラ科クロレラ属になります。
広義のクロレラ類
広義のクロレラ類としては、クンショウモやイカダモなどが属します。これらクロレラ類もこの方法で培養できます。
光合成はクロレラで解明された
カルビン博士がこのクロレラを使って光合成の仕組み(カルビン回路)を発見し、その成果によりノーベル賞を受賞しています。光合成といえば、生物にとって、地球環境にとって最も大事な代謝ですが、それはこのクロレラがもつクロロフィルによって解明されたのです。
ちなみに、クロレラの緑色はこのクロロフィルを持つためです。
広く利用されるクロレラ
栄養価が高く、クマムシ、タマミジンコの培養、メダカの飼育水、ホウネンエビの培養などに幅広く使われています。また、専門の施設で大量培養したクロレラが健康食品として販売されています。