私、承認欲求強いかも笑
それ、幼少に関係あるかもだよ
どういうこと?
愛情不足で育つと承認欲求が強くなる傾向があるらしい。でも、あまりに幼少期に過酷な経験をすると逆に、全く承認を求めなくなるんだって
へー、そうなんだ・・・少し思い当たるかな。思い当たるというか、なんだろ、いろいろ複雑だった
そうなの?人よりも承認欲求が強ければ、それはなんらかの家庭環境に起因していることも多いとか。でも単純化はできなくて。
どういうこと?詳しく教えて
現代の親子関係は「条件付きの承認」になりがちらしい。親が子供のありのままを無条件で受け入れるんじゃなくて、『○○ができたら認めてあげる、愛してあげる』って形になることが多い。条件付き承認は、「ピアノの発表がうまくできれば」とか「いい高校に合格すれば」とか、そういう分かりやすい例もあれば、もっと分かりにくくて些細な例もある。たとえば、「お母さんを怒らせなければ」とか「親の言うことを聞くなら」とかね。
養育者によって子供に与えられる承認の大切さは研究が進んでいて、わかりやすく言うと『親から愛されていないと自分を愛せない』ってことが分かってきてる。健全に愛情を受けられなかった子は大人になって、友人関係でも承認される条件がないと不安になったり、承認されることばかりを気にして自分らしくいれなくなることがあるらしい
・・・なんかさ
なに?どこ向いてるの!?
わたしの、ありのままを愛せよ!!!
『承認欲求』という言葉はもともと社会学者や心理学者など専門家が使っていた用語ですが、それが最近若者の間で使われるようになりました。若者が使う「承認欲求」の意味は専門用語とは少しずれがあるものの、若者の間で「承認欲求」という言葉が広がった背景には、共働きや親の離婚など家庭環境が複雑になりがちな現代社会やSNS社会が関係しているようです。
「強い承認欲求は幼少の愛情不足の古傷なのか」
「私は『親にとっての良い子』を崩さなかった」
ここでは、最近若者によって使われる「承認欲求」という言葉の意味や、承認欲求が強い人の特徴やメリットを解説します。
もくじ
承認欲求とは?
承認欲求とは、「他人から認められたい」欲求と、それにより「自分が価値ある存在と認めたい」欲求のことです。つまり、他者から尊重されたいと思う気持ちです。
承認欲求は『尊敬・自尊の欲求』〜誰もが持つありふれた感情
承認欲求は『尊敬・自尊の欲求』とも言われます。
高度な社会生活を営むようになった人間は、家族や他人を認めることや、家族や他人に認められることで関係を築いてきました。
人が社会動物である以上、周りから尊敬されたい、認められたいと思う気持ちは、程度の差こそあれ、誰しもが持っている当たり前の感情。健全でいるために必要な感情でもあります。おそらく狩猟生活の縄文時代よりも前から、人は「他人から認められたい」気持ちを食欲や睡眠欲と同じように抱いてきました。
承認欲求の2つのタイプ
自己承認欲求
自分の存在を自分で認めたいという欲求です。ありたい自分像に自分がなれている、満足している、と自分自身を認めたいという欲求です。
他者承認欲求
他人から自分の存在価値を認められたい、尊重されたい、という欲求です。
承認欲求は『努力』や『頑張る』を支える
承認欲求は子供から大人まで誰もが持つありふれた感情。
よく、子供が何かを見つけたり、何かを作ったりすると必ず親に「ほら」とか「見て」と言い、大人がちゃんとそれを見てくれるまで何度も言ってくることがあります。これも承認欲求の現れと言われています。自分を褒めてもらいたいためにとるごく健全な行動なのです。
承認欲求は健やかな心の成長を促し、努力したり頑張るというモチベーションにもなります。
さて、ここからが本題です。承認欲求がとくに強い人がいます。それはなぜでしょう?
幼少時代の親からの愛情不足で承認欲求が強くなる⁉
自分が承認欲求が強いのではないかと感じている若者が今、多いと言われます。さらに、幼少時代の親の愛情不足などで承認欲求が過度になると指摘されています。
強い承認欲求は幼少の愛情不足の古傷か⁉
幼少期、少年少女期に、『親の共働きなどで親が子に接する時間が少なくなりがちだったり』、あるいは『親の方針や傾向により親の承認を十分に受けれずに育った』若者が、承認欲求を強めるのではないかと専門家は指摘します。
ほとんど認められる経験がなかった子供は、人から尊重されたい、存在価値を認められたいという欲求を強めるのです(寺井、石川看護雑誌:15,2018)。
つまり、子供のとき親の愛情不足の中で育つと、大人になって強い承認欲求を求めるようになるのではないか、と言われています。
そんな子供は、親に承認されるために自分で高い目標を設定するといいます。
「私は『親にとっての良い子』を崩さなかった」
親の承認不足、愛情不足で育った子供は、親に承認されるために自分からわざわざ高い目標を設定しがち、といいます。しかし、その目標は達成するには高すぎることが多く、結果的に達成できなかった自分に罪悪感を感じてしまう、という負のスパイラルに陥ることも。
少し話がずれますが、虐待されている子は親の虐待の原因を自分にあると考える傾向があることが学術的に知られてます。「お母さんが自分をたたくのは自分がちゃんとしてないからだ」、「相手にしてくれないのは自分がいい子じゃないからだ」、と。虐待を自分への正当な「罰」だと認識して行き着く先は「自分がもっと良い子にすれば親は自分をたたかない」 という考えです。
一方で、日本の風土的な要素も承認欲求を強める傾向にあるのではないかと指摘する専門家もいます。つまり、日本の学校では、多様とはいえない画一的な基準で優等生が評価される仕組みがあり、期待に応えることや努力することを求める性質が強いとされます。そんな教育の地盤風土が承認欲求の強さを生んだと指摘する専門家もいます。
ネグレクトや虐待で、承認されることを諦め全く承認を求めなくなることも
幼少にネグレクトや虐待を受けた場合、自己防衛本能で承認欲求が消失するケースがあるそうです。承認されることを諦め、全く承認を求めなくなることも。
そのような子供にふたたび健全な承認欲求を取り戻してもらうには、無条件の承認欲求を数年以上満たす環境にいてもらうなどのケアが必要なようです。ただ、大人になってから、そのような環境に恵まれる機会は少ないとも言われます。
「条件付き承認」で育つと承認欲求が強くなる
「条件付き承認」で育った人も承認欲求は強くなる傾向にあるようです。「条件付き承認」とは、親などの養育者が子供のありのまま無条件で受け入れるのではなく、『○○ができたら認めてあげる、愛してあげる』という形をとること。
「ピアノの発表がうまくできれば」、「いい高校に合格すれば」など分かりやすい条件付き承認もあれば、「お母さんを怒らせなければ」「親の言うことを聞くなら」など日常に紛れた条件付き承認もあるとか。
そのハードルはある程度親子関係ができているなら許容されるレベルのものもあるようですが、それがあまりに高いレベルだったり、あるいはあまりに高頻度であったりすると、健全な親子関係は築けなくなります。
そして、現代の親子関係は「条件付きの承認」になりがちと言われています。
「条件付き承認」がその子にもたらす傾向
そうした条件付き承認の色合いが強かった家庭環境で育った子供に、大人になってどのような傾向が生まれるか?分かっていない部分も多いようですが、以下のことが言えそうです。
- 「何もしなくても(何も特別じゃなくても)自分が愛される存在だ」と思えなくなる。
- 無条件の愛情に触れたとき戸惑う、本当の優しさを受け取っても理解ができない。いつもの条件達成後の「期限付きの愛情」と捉えてしまう。
- 青年期や成人後、「自分はこれをした(条件をクリアした)のだから相手は自分を愛すべきだ」と考えてしまう。
安易な思いつきの、親に都合がいいだけの、条件付き承認
子供の夢や目標、あるいは親が子に身につけておくべきと感じた能力を身につけさせるために、一定のハードルや困難を養育者が子供にあえて設定することは健全で、子供にとってもモチベーションややる気を引き出す効果があります。
しかしそれが『安易に思いついた、親に都合がいいだけの』条件付き承認になってしまっては、その何年、何十年後かに子供に愛情に対する大きな偏りを与えてしまうことになりそうです。
いつだって「無条件の愛情」を十分に示すことが、どのような場面でも子供には必要でしょう。
親は子の安全地帯
親は子の安全地帯です。子供は歩けるようになってから冒険しますが、不安になったり困ったときはすぐに親のもとに戻ります。そこが安全地帯だからです。
そのような安心できる愛情関係があるからこそ、子は自立の道を進めむと専門家はいいます。これはなにも、乳児や幼児のときだけはなく、親離れが進む青年期にも同じだそうです。
その安全地帯に、条件付きの承認、条件付きの愛情は置けないようです。
SNS時代と承認欲求
インスタやフェイスブック、ユーチューブなどのSNSがこれほど若者に受け入れられた背景には、それらが若者の承認欲求を満たしやすいツールであることが関係しているとの指摘もあります。
昔ならあり得ない速度と波及力で自己発信できて、いいねや登録で自己への承認を実感できるSNSを今はだれもが利用できます。
そのため、近年の若者が承認欲求を高めた理由の一つに、SNSが関係しているのではないかと言われています。
承認欲求と自己顕示欲・自己実現欲求は違う
承認欲求と自己顕示欲・自己実現欲求は違います。
承認欲求はだれもが乳児期からもっている本能で、社会動物である人が生きていく上で重要な欲求です。自分の存在価値を認められたいという気持ちです。承認欲求はそれを与えてくれる他者が中心的である側面を持ちます。
一方、自己顕示欲は「有名になりたい」「注目されたい」という自分が中心的な側面を持つ欲です。自己実現欲求とは、自分の夢や、将来こうなりたいという理想像を実現したいという欲求です。
自己顕示欲・自己実現欲求も生きていく上でモチベーションを与えてくれる健全な欲求ですが、承認欲求とは根本的に異なる種類のものです。
承認欲求が強い人のメリットとデメリット
メリット
目標を達成することで周りから承認が得られるため、目標達成のために自己管理や努力をいとわず、仕事で成果がでやすいようです。
また、周りから認められることで高いモチベーションが湧き、さらに人々を惹きつけたり、別の重要な仕事を任されたりといい循環が起こりやすいようです。
デメリット
プライベートでは、恋人や友達に過度な承認を求めて関係が悪化したりすることがあるようです。認められたい一心で話を脚色したり、周りの人のことよりも自分の話ばかりしてしまって煙(けむ)たがられることも。
また、仕事面では、結果が出せなかったときに自分を責めたり否定する傾向が強いようです。先行きを考えてモチベーションが下がったり、気持ちが不安定になったりします。
また、後輩や同僚にお願いごとを頼まれると断れず、それにより仕事が増えてしまったり、自分の時間が減ったりします。
強い承認欲求との付き合い方
自分が他人と関わる居場所を多面的につくったり、本や映画を見ていろんな人のドラマを見たりするといいでしょう。人によってゆがめられた承認欲求を健全な形に戻してくれるのもまた人です。
あまりに強い承認欲求に苛まれているようでしたら、専門の方に相談するのもいいでしょう。
以上、承認欲求についてでした。ひとは、他人からの素敵な承認がなければ、自分を素敵に承認することは難しいようです。