ひとたび顕微鏡で見かければ、そのライトグリーンの繊細な姿を魅了される生物ファンが多いボルボックスについて、見つけ方や生息場所、特徴を解説します。
もくじ
ボルボックスとは?その特徴・生態について
ボルボックス(Volvox)はきれいな池に生息する緑藻の仲間。
大きさは直径数百μm程度(0.2〜1mm)。存在だけなら肉眼で容易に認めることができる。
比較的水質の良い淡水域(たんぼ、池、小川など)で見つけることができる。いるところにはたくさんいるが、ミジンコのようにそこら中にいるわけではない。
2,000~6,000 個(ボルボックス・カルテリの場合)の体細胞が球状に繋がる。体細胞は層をなし、ゼラチ質により綺麗に結合する。その球体の中に、ゴニディア (gonidia)と呼ばれる12~16個の生殖細胞からなるコロニーが形成される。これを娘群体(むすめぐんたい)を形成する。これはいわば子ボルテックスで、やがて外にでて大きくなる。
体細胞内には葉緑体が存在する。
ボルボックスは日中は表面に多く、夜になるとより深い層に沈む。
細胞内には葉緑体を持ち、光合成を行う。無性生殖も有性生殖も可能。春の池などで無性生殖で増え、真夏に気温が上がる日が多くなったり、池が干上がりそうになると有性生殖を始める。有性生殖によって、乾燥した底泥に無数の接合子を残す。これが冬期の乾燥や寒冷を耐える。翌年春、ふたたび水を迎えると、無性生殖で増殖を始める。
ゾウミジンコと一緒に生息することがある。
ボルボックスの見つけ方・探し方、見つかる場所
まず田舎に足を運び、池や田んぼを探す。夏でも冬でも構わない。
比較的きれいそうな池や水田で目を凝らし、明るい緑色をした1mmくらいの玉がたくさん浮遊していたら、それがボルボックス。100均で売っているメダカすくいのようの小ぶりの網ですくえばたくさん採れる。
プランクトンネットも有効。ボルボックスはサイズが大きいので、高価なプランクトンネットでなくても、ストッキングで作った自作プランクトンネットで全く問題ない。
ボルボックスという名前の由来
ラテン語で『回転、転がる』を意味するVolvo(ボルボ)に由来。スウェーデンの自動車メーカー『ボルボ』も、この意味に由来する。生物系研究者にお馴染みのお手軽攪拌機『ボルテックス』も、この語に由来すると筆者は予想。
和名はオオヒゲマワリ。この言葉も、単体で『二本の長い鞭毛を持つこと』と『回転していること』から名付けられたと思われる。
ボルボックス属の種類
単なる顕微鏡観察では同定は難しい。
Volvox carteri(ボルボックス・カルテリ)
もっとも研究の進んでいて、細胞分化の進化学や発生遺伝学の有用モデルとなってきた。一般的にボルボックスと言うと本種を指す。
2,000~6,000 個の体細胞が球状に連なり、その中に2~16個の生殖細胞(娘群体を形成する細胞)を持つ。
Volvox aureus(ボルボックス・オーレウス)
200-3,200 個の体細胞が球状に連なり、その中に4~10個の生殖細胞(娘群体を形成する細胞)を持つ。
Volvox tertius
Volvox globactor
Volvox dissipatrix
ボルボックスの飼い方、増やし方
ハイポネックスなどの液肥で培養可能だが、簡単ではなさそうである。昼夜の温度差の管理や植え継ぎなどを丁寧に行う必要があるという。
ボルボックスのオススメリンク
ボルボックスを自由研究で丁寧に研究していて面白い