顕微鏡の観察方法〜家庭で綺麗に撮影する裏技も

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顕微鏡の観察方法〜家庭で綺麗に撮影する裏技も

『子供に蝶のりん粉を顕微鏡で見せてあげたい』、『池のプランクトンをじっくり見てみたい』など顕微鏡観察のニーズは昔からありますが、自分の興味に任せていろんな生物をじっくり観察する機会は意外と少ないものです、学校の授業で先生があらかじめ用意した標本を観察する機会はあるものの。

ここでは、親子で家庭で顕微鏡観察する際のベストバイを、観察方法や実際の写真とともにご紹介します。

「1000倍」で「双眼タイプ」の生物顕微鏡がオススメ

もし家庭用に顕微鏡観察の購入を検討しているなら、実体顕微鏡もいいですが、研究や検査の現場で使われる1000倍の生物顕微鏡がおすすめです。断然用途が広がります。

世の中には美しいミクロ構造を持つ虫や微生物や植物や動物が多いです。それを家でじっくり観察できる機会があったなら、、自分で調整したステージで精緻な構造を眺めたなら、、子供の好奇心や主体性はその根の深さをもって育まれるかもしれませんね。

実体顕微鏡は簡単に観察できて便利なのですが、より詳しく観察しようとすると限界があります。より高精細な像で本格的なミクロの世界を見るには、①1000倍以上、②双眼タイプ、この二つの条件はマストでしょう。

生物顕微鏡はどれを選ぶべき?オススメ機種は?

①②を満たす顕微鏡は一般にプロ仕様です。職業で顕微鏡を使っている方なら、そのような顕微鏡に慣れ親しんでいるでしょう(おそらく病院や研究室で働いている方だと思いますが)。きっと1台何十万もする機種(オリンパス、ニコン、ライカ、カール・ツァイス)をお使いでしょう。でもこれでは、家庭で使う場合あまりに高額すぎます。

すると、上記有名メーカーほど高価ではないが信頼できる顕微鏡メーカー(WRAYMER(レイマー)、メイジテクノ、アズワンなど)が候補に挙がるわけですが、それでも10万円前後します。価格は下がったとはいえ、この価格だとまだ購入を足踏みしてしまいます。3万円程度で手に入る生物顕微鏡があればいいのにな・・・

それがあります!

①②を満たす3万円ほどのプロ仕様の生物顕微鏡が販売されています(2020年6月時点確認)。それが以下の生物顕微鏡「SW380B(SWIFT社)」。

SWIFT社は創業50年以上のアメリカの顕微鏡メーカー。「SW380B」は一般的な生物顕微鏡の性能である40倍から1000倍の観察に加え、2500倍まで観察できるレンズを備えています。そのため、研究室や医療現場でも使われています。家庭で本格的な顕微鏡観察を行うためのベスト解、子供や大人の好奇心を止めることなく生物への興味を強められるパワフルツールといえます。

顕微鏡観察の壁

顕微鏡を購入したはいいけど、『プレパラートはこうやって作る』、『対物レンズはまず10倍にセットして、接眼レンズはここまで下げて』など、いわゆる準備が大変そう、と感じる人も多いようです。

でもそれは先入観で、虫ならジップロック付きの透明なビニールに入れればそのまま観察できるし、池の水のプランクトンもわざわざプレパラートを作らなくてもクリアに観察できます。

ここでは、そんな簡単で手抜きな観察方法を少し説明します。

手抜きだけど鮮明に顕微鏡観察する簡単な方法

ここでは、鮮明に顕微鏡観察するため簡単な方法を解説します。必要なものはこのページの下の方に書いています。

  1. 観察したいものを採ってきます。100均で売ってるジッパー付き袋をたずさえて、公園に、山に、川へぜひ。葉っぱでも虫でも花でも土でもコケでもなんでも。コケならクマムシが観れますよ→「クマムシはどこにいる?近所の苔からクマムシを30分で見つける方法」)
  2. (必要なら)サンプル処理。①コケの中の生物を見る場合:スポイトで水を吸い取り、それをコケに染み込ませては再び吸い取る、を何回か繰り返します。そうして水が濁ったら、その水をごく少量スライドグラスの上にのせ、カバーガラスをかけて、ステージにセット(これだけでコケにいた生物をいっぺんに見ることができます)。②花や葉っぱを観察する場合:そのままステージにセットしたスライドガラスに乗せます。汚れている場合は、カバーガラスを乗せて対物レンズ(覗くレンズじゃない方のレンズ。くるくる変えれるレンズの方)が汚れるのを防ぎます。③池の水のプランクトンを見る場合:池の水を少量スポイトで吸い取り、スライドガラスの上の乗せ、カバーガラスをかけます。横から水がはみ出たらティッシュなどではみ出なくなる程度まで吸い取ってから、ステージにセット。④生きている虫を観察する場合ジッパー付きビニールに虫を入れて、潰さないように優しく手で押さえながら空気をできるだけ抜く。虫が身動きできない程度になればOK。これをステージにセットしたスライドの上に置く(いろいろ試して、ジッパー付きビニールで虫を固定が一番よかった)。
  3. 横から見ながら、ステージを対物レンズ(覗くレンズじゃない方のレンズ。くるくる変えれるレンズの方)が試料に当たるぎりぎり手前まで近づけて低倍率から観察する。虫や花や葉っぱなど光を透さないもの(つまり、下からライトを照らしても真っ暗になって観察できない試料)は、側面や上部からLEDライトを試料に当てながら観察する。

撮影(写真・動画)もきれいに撮れる

ついでに撮影方法は以下です。カメラ選定さえ誤らなければ、写真も動画も意外と簡単に綺麗に撮れます。

  1. 上記の方法で、撮影したいものにピントを合わせた状態にする。
  2. コンパクトカメラ(選定基準は下記)のレンズの頭が顕微鏡の接眼レンズを覆うように優しく当てる。
  3. 揺れないようにして撮影(写真、動画OK)。
顕微鏡撮影
接眼レンズにぴったりくっつくタイプのコンパクトカメラなら、きれいな写真や動画が撮れる

顕微鏡観察に必要なもの・TIPS

生物顕微鏡

上記「生物顕微鏡はどれを選ぶべき?オススメ機種は?」で解説済み

ジッパー付きビニール袋

実はジッパー袋は大事で、これがあると、いろんなサンプルを区別しながら採取できるし、短時間ならポケットに気軽に入れられるので便利。また、上述のように、虫を痛めつけずに押さえ込むことができるので虫の観察が格段にしやすくなります。100均ので十分です(多少、商品によりクリア度が多少違うようです)。

けんびきょう観察
むかし観察したコケや植物片

スライドガラス

大きめのホームセンターなら売っています。アマゾンでも100枚1000円程度で売っていますが、オススメは以下のMATUNAMI社製。水縁磨なので縁で手を切る心配が少ないのと、研究室でも使われる信頼メーカーのため。

カバーガラス

オススメは角カバーグラス 18×18mm 100枚入  MATSUNAMI(松浪硝子)です。研究室でも使われるプロ仕様で、ガラスの品質が像に与える影響を低くできます。

スポイト

ホームセンターになかなか置いてありません(駒込ピペットなら書道、筆コーナーにありますが、やはりスポイトが使いやすい)。オススメはアズワンです。理由は安いから。

LEDライト

虫や植物片など光が透過しない試料は、表面を明るく照らすことで観察が可能になります。この観察原理は一般に実体顕微鏡で用いられるものですが、生物顕微鏡に適応してはいけないというルールはありません。専門の人はこんな使い方はまずしませんが、これで生物顕微鏡の可能性は一気に広がるので、しない手はありません。高輝度の白色系ライトが安く手に入るようになった時代の恩恵でしょう。

ライトは百均で売っているもので十分ですが、白色系を選んでください。筆者は、登山用のヘッドライトを使っています。これだと小型なので取り回しがいいのと、ベルト部分を活かしてライトの向きをミリ単位で調整して試料に光をドンピシャで当てられるメリットがあります(下の写真)。いろいろ試してこのセットの仕方に落ち着きました。これだと、光が透過しない試料でも片手でライトを持つ必要がないので、いらいらせず、一人でも落ち着いて観察できていいです。4000円のライトはやや高いですが、生活や非常時用でも使えると思えば高くないかも。登山用ゆえ耐久性は抜群です。

顕微鏡観察のこつ
こんな風にステージの片にヘッドライト入りカップを置くと虫や植物の観察に便利

デジカメ(撮影する場合)

観察したものを写真や動画で撮影する場合必要。コンパクトデジカメがおすすめです。フルHD(1920×1080)で動画撮影もできる。一番レフではレンズが大きすぎて撮影できないので注意です。コンパクトデジカメでも、レンズ径が大きいとうまく撮れません。レンズを出したとき、顕微鏡の接眼部分とぴったり合うサイズがベストです。筆者が使ってきて、きれいに撮影できたのは以下の機種。

顕微鏡撮影
接眼レンズにぴったりくっつくタイプのコンパクトカメラなら、きれいな写真や動画が撮れる

しかし最近、新しい方法を発見。スマホアームスタンドがあれば、これを机のふちに固定して、スマホをセット、写真アプリで少しズームすれば、きれいに撮れました。手で支えておく必要がないので、楽でした。ぜひ試してみてください。

撮影した写真

以下の「関連記事」で複数の撮影例を紹介しています。よかったらご覧ください。

この記事で紹介した商品

*PhotoACより

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