「温暖化は起こっていない」「地球温暖化は人為的要因ではない」という意見がありますが、科学論文のデータやICPP*の結論によると、『地球温暖化は起こっている』『地球温暖化は人為的要因である』と言えます。
ここでは、その根拠となるデータの一部をまとめました。
*IPCC:世界各国から2,000人以上の研究者、専門家、政府関係者が、温暖化の原因や影響を研究報告を集約してまとめた報告書。
もくじ
英科学誌ネイチャーで『ここ数十年の急速な温暖化は過去2000年前例なし』
以下のグラフは、過去2000年間の気温変化を総合的に調査したデータです。
2019年7月、英科学誌ネイチャーにて、『20世紀後半ほどの急速な気温上昇は過去2000年さかのぼっても前例がない』と結論づける研究論文が3本、発表されました。
これは『地球温暖化は人為的要因によるものではない』という意見を否定するものです。
2000年前の気温は簡単には調べられませんが、堆積物コア、木の年輪、サンゴ、温度計など、気温変化の記録を取り出せる700近い指標からデータを集めて、気候変動を複数の側面から総合的に調査しました。
これにより、戦後以降の大量の化石燃料が使われ大量消費が続いた20世紀後半に気温が急速かつ一貫して上昇しつづけており、そのような気温変化はわれわれホモ・サピエンス(現生人類)が誕生して以来、一度もなかったということが分かりました。
太陽活動の変化やミランコヴィッチサイクル、火山活動では近年の気温上昇は説明できない
地球はもともと周期的な気温変動を繰り返しており、それは周期的に変化する日射量変動(太陽活動の変化やミランコヴィッチサイクル)が一因と考えられています。
また、産業革命以前の気温変化は主に火山活動による変化である可能性が高いことが分かってきました。
しかし、20世紀後半の急激で一貫した気温上昇は、この日射量変動でも火山活動でも説明できないことが分かっており、主に二酸化炭素などの温室効果ガス濃度の増加によって引き起こされた、とIPCCや世界の研究者は考えています。
地球の大気中二酸化炭素濃度が過去800,000年間で今が最高値
下の図は、過去80万年間の大気中二酸化炭素(CO2)濃度のデータです。
二酸化炭素濃度は周期的に増減を繰り返していますが、これは『氷河期』(寒冷な気候が続く時代)と『間氷期』(温暖な気候が続く時代)が繰り返される地球本来の気候変動によるもので、氷河期には二酸化炭素濃度は減少し、間氷期には二酸化炭素濃度は増加します。
しかし気候変動でも大気中二酸化炭素濃度が300 ppmを超えることはありませんでした。
ところが、20世紀後半から二酸化炭素は急激に増加し、2019年には409.8ppm(オレンジ部分)に達しました。これは過去800,000年間で最も高い値です。
わたしたちが生きているのは、過去80万年間、生物が一度も味わったことのない高い二酸化炭素濃度の世界です。